『ドラゴン桜2』桜木建二が教える 2020教育改革

清水章弘さんに聞いた 我が子が伸びる塾選びのポイント

2021.01.04

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桜木 建二
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塾・予備校の存在は、日本の教育の世界ですっかり欠かせないものとなっている。是非論はともかく、実態は今後も変わらないだろう。どうやっていい塾・予備校と出合えばいいか。そのあたりを聞くのに適任がいたぞ。東京と京都で学習塾「PlusT」(以下、プラスティー)を運営している清水章弘さんだ。

塾に任せ過ぎず依存し過ぎない親の心構えも必要

日ごろから、教える者としての力をどう高めているのか。しっかり確かめておくんだ。塾に通うというのは、決して安い出費でもないのだから。

 ただし、塾を通常の買いものと同じように捉えるのはよくない。モノを買うときのように、「お金は出す。その対価として成績を上げてくれるんでしょう?」という態度では、塾とあまりいい関係は築けそうにない。

 「確かにそう言われてしまうと、塾側としても少し寂しい気持ちになってしまいます」

 と清水さんも言う。いい塾なら、子どもの人生の一部に真剣にかかわらせてもらいたいとの気概を持っているはずだとのこと。そうした熱い気持ちのある塾とうまく出合い、子ども、家庭、塾がともに成長していける関係を築けたら理想的だ。

 一方、塾に依存し過ぎないようにする気持ちも大切だという。

 「私は塾を、病院のようなものと捉えています。学校の授業についていけない、またはもの足りないところがある。ならば治療をしましょう、という場です。治ればうれしいし、おめでとうと言われながら退院していくのがふつうですよね。

 もちろん病気やケガを治すための通塾もあれば、もっと高みを目指して切磋琢磨したいがゆえの通塾もあるでしょうから、『病院モデル』で一概には語れませんが、依存し過ぎないことが肝要なのは確かだろうと思います」

苦労人の父のすすめで私立中高へ進学、東大へ

うまく付き合えば、これほど心強い存在もないのが、日本の塾という存在だ。

 清水さんは長らく、正しき塾のあり方を模索し、実践し続けてきたわけだが、なぜこの世界に身を投じるようになったのか、その背景が気になるところだ。

 東京の名門私立中高一貫校に通い、現役で東京大学へ。学生時代、弱冠20歳で起業し、塾の経営をしながら大学院を修了した―。

 かいつまんで言うと清水さんの生い立ちはそんなことになる。よほどのエリートであり、ひょっとするとご両親も東大、祖父も帝大を出ているような家柄なのだろうかと想像してしまうが、そうではないそうだ。

 「清水家はもともと茨城にあり、昔から高等教育とは無縁な家系でした。うちの父も、高校を出て働き始めたのですが、高卒だといつまでも大卒の初任給にもたどり着けないと気づき、3年間の浪人生活を経て大学へ入ります。

 のちに生まれた僕に、父親は言いました。自分みたいな人生を歩ませたくない。だから『学』だけはつけさせたい、と。それで私は中学から、東京の私立校へ通うことになりました」

 通っていた中学校で教育問題に関心を持つようになり、東大の教育学部へ進学。学校の現場でやりたいことがたくさん出てきて、話を持ちかけると、たいていは「法人相手でないと契約を結べない」と言われた。

 ならばと在学中にみずから会社を立ち上げた。それが現在のプラスティーへとつながっている。

中学時代に取材した教育評論家の影響で教育の道へ

中学時代に教育問題に目覚めたというのは、なぜだったのか。

 「毎学期1本ずつ、レポートを書く課題があったんです。2年生のとき、テーマ選びに悩んでいると、テレビの討論番組で『ゆとり世代』を憂う話題が取り上げられていました。

 1987年生まれ以降のゆとり世代はバカになる、どうするんだという議論ですね。私はまさに87年生まれで、第一世代なのです。

 自分たちで決めた制度でもないのに、なぜバカだと言われないといけないんだろうと疑問を抱きました。じゃあこれをレポートのテーマにしようと決めました。

 2カ所以上は取材をしなさいというルールがあったので、テレビで教育について語っている方々に片っ端から連絡をして、取材のおねがいをしました。するとみなさん、お忙しいなか時間を割いて話を聞かせてくださいました。

 尾木直樹さんや和田秀樹さんなど、著名な方々も含めて、口をそろえて『教育こそいちばん大事なものなんだ』と目を輝かせて、熱く語ってくださるのです。こんな生き生きとした大人の顔を見るのは、初めての体験でした。

 そうか教育か。この仕事はすてきだな。そう強く思うようになって、教育学を志すようになったのです」

 なるほど子どもに最も大きい影響を及ぼすのは、大人が全力で楽しみ、本気で打ち込む姿なのだということが、改めてよくわかる逸話だ。

 次回も、清水さんの教育論について掘り下げて聞いていくぞ。

(山内宏泰)

清水章弘さんに聞いた 我が子が伸びる塾選びのポイント
清水章弘さんに聞いた 我が子が伸びる塾選びのポイント
清水章弘さん
清水章弘さん

話を聞いた人

清水章弘 

「プラスティー教育研究所」代表取締役

1987年、千葉県生まれ。海城中学高等学校、東京大学教育学部を経て、同大学院教育学研究科修士課程修了。勉強のやり方を教える塾「PlusT」を東京と京都で運営。テレビ、新聞、ラジオで勉強のやり方を解説している。主な著書に『自ら学ぶ子を育てる! 清水先生の自宅学習相談室』(朝日新聞出版)、 『東大式ふせん勉強法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。1児の父。

『ドラゴン桜2』

作者は、漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したが、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。弁護士・桜木建二が生徒たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに、実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。雑誌「モーニング」(講談社)、「ドラゴン桜公式マガジン」(note)で連載中。

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