文系、理系の壁

吉祥女子中高・杉野広報部長「2015年を境に文理の生徒数が逆転、理系多数に」

2020.12.18

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柿崎明子
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関西の進学校を中心に、理系志望がこれまで以上に増えています。世の中には理系重視、文系軽視の風潮もあります。一方、最近は文系社員が多い企業でもAI(人工知能)の基礎を教える動きが出てくるなど、文理融合が求められています。東京の吉祥女子中高の杉野荘介・広報部部長に、同校の文理選択の状況を聞きました。(写真は、東京都武蔵野市にある吉祥女子中高の校内=同校提供)

杉野荘介

話を聞いた人

杉野荘介さん

吉祥女子中学・高等学校広報部部長

(すぎの・しょうすけ)2000年早稲田大学大学院理工学研究科修了。同年、吉祥女子中学・高等学校専任教諭に。担当教科は理科(物理)。

医療系の仕事に就いて社会に貢献したい

――この十数年、関西の進学校を中心に理系志望が増えていますが、吉祥女子はどうですか。

2000年代初めの頃は7クラスのうち、理系が2クラス、文系が5クラスと文系の方が多かったのですが、理系を目指す生徒が徐々に増え、2015年に芸術系を含めた文系生徒と理系生徒の割合がほぼ半々になりました。今は理系生徒の数の方が少し多いです。2001年と比べると、理系の生徒数は約1.7倍になっています。

1980~90年代は国際教育に力を入れており、英語クラスをつくったり、世の中で海外研修があまり盛んではなかった時代から、カナダで全員参加の語学研修を行ったりしていました。一方で理数教育にも熱心に取り組んでおり、実験教育を重視してレポートなどの指導を丁寧に行っていました。90~2000年代の理数生徒の数は少なかったものの、東大に進学するような優秀な生徒もいました。

2004年には校舎を建て替え、理科室を3室から4室に増やし、設備も最新のものをそろえました。その後、実験の準備、片付けなどをしてくれる専門の校務職員も2人から3人体制とし、実験授業のサポートをお願いしています。

――理系志望の生徒が増えた原因は何でしょうか。

本校独自の理由と世の中の動きの両方があると思います。本校の進路指導はキャリア教育と連動しており、偏差値で大学を選ぶのではなく、将来のビジョンやライフプランを見据えて学部や大学を選ぶように指導しています。理系志望者は、医学部をはじめ、薬学部、看護学部、臨床検査や放射線などの医療系学部が半数を占めます。「医療関連の仕事に就いて社会に貢献したい」という思いが強いようです。また女子は特に、資格を前提とした職業に就ける医療系を選ぶ志向があるようです。

世の中の動きでいえば、景気の動向が大きく影響し、不景気の時には理系に人気が集まるようです。ただし、生徒には「理系がお得」という感覚はなく、むしろ親世代が「就職のときに理系はつぶしがきく」と感じているのではないでしょうか。最近は情報科学系が人気のようですが、本校は医療系に進む生徒が依然として圧倒的に多いです。

吉祥女子中高・杉野広報部長「2015年を境に文理の生徒数が逆転、理系多数に」

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