サピックス広野先生の 知っトクなっトク中学受験
中学入試直前! 家庭学習、コロナ対策の注意点は? 「事前に十分なシミュレーションを」
2021.01.05

情報過多の時代の中学受験。大手進学塾サピックスの広野雅明先生が保護者の方々に向け、情報を上手に利用するコツを解説します。
新型コロナウイルスの感染がまだまだ拡大する中、2021年度入試では、まずは罹患(りかん)しない、濃厚接触者にならないように行動することが最優先であることは言うまでもありません。一方で、志望順位の高い学校を受験するときにお子様が最高のパフォーマンスを発揮できるような環境を整える必要があります。そこで今回は、各家庭で悩まれることが多いと思われる問題についてお答えします。こうすればいいという正解がない問いも多いですが、入試直前期の行動のヒントになれば幸いです。
学校・塾を欠席する場合はよく相談を
Q 新型コロナウイルスに感染した場合(濃厚接触者になった場合)、どうしたらいいですか?
A ある学校のウェブサイトに以下の文章が掲載されました。
「新型コロナウイルス感染症を発症している、もしくは同症の濃厚接触者に特定されている場合の受験はできません。濃厚接触者でPCR検査陰性の場合であっても、隔離教室を設けることができませんので受験をお断りいたします。なお、追試験は行いませんのでご了承ください」
感染拡大が続く中、経路不明の感染者も増加しており、どのような状況下で感染が広がるかがまだまだ分からない状況ですので、上記のような方の受験をお断りすることもやむを得ない事態かと思います。また試験会場も1教室あたりの児童を例年より少なめにする以上、別室受験を認めることもなかなか難しい状況かと思います。入試問題は1年がかりで作る先生も多いと聞きますので、追試用の問題をもう1本作ることは容易ではありません。
ほとんどの学校では上記のように受験することが難しいと思います。その一方で、開智中、開成中、共立女子中、栄東中、芝浦工大付属中、城北中、世田谷学園中などのように追試験を実施すると発表した学校もあります。また追試を実施する学校でも、公的機関からの証明書の必要の有無、インフルエンザ等の場合の対応など、学校ごとにかなり異なります。受験予定校のウェブサイトは小まめにチェックして、必要な情報を随時確認してください。
濃厚接触者になった場合は、上記の追試を受験できる学校、栄光学園のように大学入学共通テストに準じて、公共機関を利用せず学校に行けば別室にて受験できる学校もあるようです。万が一の時はウェブサイトを確認の上、受験予定校に直接相談してください。
Q 1月校(前受け校)は受験した方がいいですか?
A 感染リスクを避けるためにはなるべく外出を控えるのはもちろんですが、一方で1月校にも魅力的な学校が多数あることも事実です。また、実際の入試でも過度に緊張して実力を発揮できないお子様もいますので、実際に受験して試験会場の雰囲気に慣れたり、緊張感の中で受験したりすることに意味があるのも事実です。進学先として考えている学校から合格を頂くと安心して志望順位の高い学校にチャレンジできますし、お子様の自信になります。
1月校でも受験日程を分散したり、会場を複数に設定したり、例年より1教室当たりの受験者数を減じて、感染リスクを低減するよう努めている学校も多いです。特に自家用車での受験を認めている学校もあるので、各家庭と学校との位置関係によっては低リスクでの受験が可能な学校もあると思われます。ご家庭ごとに条件や考えも違いますので、各家庭でよく相談してベターな選択をしてください。
Q 1月は学校や学習塾を休んだ方がいいですか?
A 感染リスクを避けるには外出を避けるのが一番ですので、欠席をすることも有力な選択肢の一つだと思います。ただし、日中にご家族がおらずお子様が一人になってしまうことも多いので、その選択が難しい家庭もあるかと思います。また、お子様によってはどのような環境でも自分のペースで勉強できますが、そうでないお子様もなかにはいらっしゃるでしょう。学校によっては追試を受験するときの条件として、通っている小学校からの書類が必要なケースがあります。どのような選択をする場合でも、学校では担任の先生とよく相談し学校の理解を得るようにした方が、そして受験を控えているのでなるべく感染リスクを避けられるようにお願いした方がよいと思います。
学習塾についても、心配な場合はよく担当講師と相談してください。全部を欠席する、一定期間は欠席する、一部の曜日は欠席するなど様々な選択肢がありますので、家庭の方針と合う選択をしていただきたいと思います。どのような選択をする場合でも、学校や学習塾とのコミュニケーションは十分にとり、お子様のモチベーションが下がらないような配慮は必要です。
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