早生まれに負けない子育て

早生まれはスポ-ツでも不利? 別の大きな要素も 指導者が知るべき相対年齢効果とは

2021.01.08

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山下 知子
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「早生まれ」(1月1日~4月1日生まれ)は、スポーツにどのように影響するのでしょう。発育などが相対的に遅い分、「遅生まれ」より不利なのでしょうか。生まれ月に焦点をあてた研究や指導に力を入れている日本陸上競技連盟の伊藤静夫さんに話を聞きました。(グラフは2012年の各大会の出場者。ただし、五輪・世界陸上代表は1960~2009年に出場したうちの104人を分析。森丘保典「タレントトランスファーマップという発想」 陸上競技研究紀要2014=より)

伊藤静夫さん

話を聞いた人

伊藤静夫さん

日本陸上競技連盟評議員

(いとう・しずお)1949年、愛知県出身。東京マラソン財団理事長、元日本体育協会スポーツ科学研究室長。東京教育大(現筑波大)時代は800メートルと1500メートルのトラック、箱根駅伝で活躍。専門は運動生理学、トレーニング科学。

――野球選手やサッカー選手には早生まれが少ないと聞きます。陸上界でも、生まれ月が競技の結果に影響するのでしょうか?

生まれ月によって、成人になったときの最終的な運動能力に差はありません。

にもかかわらず、ジュニアの全国大会などに出場した選手の割合を生まれ月ごとに比較すると、陸上の大会でも早生まれの割合が少なくなっています。冒頭の表を見ていただくと、小学生ではとくに大きな差がついています。これは、ひとえに4月2日生まれから翌年4月1日までの区切りによって生じたものです。とくに小学校の高学年は、一生のうちでも最も成長の著しい時期に当たりますが、相対的に身体が発達し体格の大きい4~6月生まれの子に出場の機会がまわりがちになります。こうした生まれ月に由来する問題は「相対年齢効果」と呼ばれています。

――日本陸連としても、指導者向けの講習で「相対年齢効果」を考慮するよう求めているそうですね。

陸上界では、ジュニアの選手を育成するなかでこの問題に焦点が当たるようになってきました。確かに、同じ学年でも年長の子は好成績を収めやすく、その結果さらに次の好機を得ることにつながります(マタイ効果)。また、大人は専ら年長の子に期待を向け、子どももその期待に応えようと努力し、成績が向上するという好循環を生み出します(ピグマリオン効果)。それとは裏腹に、早生まれの年少の子はそうした機会に恵まれず、結果的に排除されてしまうのです。

したがって、指導者が注意しないと早生まれというだけで不利益を被ることになってしまいます。子どものころに形成された有能感や無能感は、成人になってからの運動への意欲や向き合い方にも大きく影響します。

ただし、相対年齢効果は非常に多面的です。一概に早生まれが「不利」とは言えない部分もあります。また、出生地や早熟・晩熟もあわせて考える必要があります。

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