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子どもの歯列矯正のリアル 中学受験と両立させるなら始めどきはいつ? 小児歯科専門医に聞く

2021.01.04

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佐々木 正孝
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かみ合わせが健康に影響するのはもちろん、八重歯や歯の重なりなど見た目を気にして歯列矯正(矯正歯科治療)を始める子どももいます。ただ、矯正歯科治療は身体的、そして時間的にも大きな負担を伴うもの。特に中学受験との両立を考えると、始めるタイミングに悩むことも……。中学受験生は矯正歯科治療をどのように考えるべきでしょうか? 子どもの歯列矯正に詳しい小児歯科専門医・石谷徳人さんに中学受験と矯正歯科治療の両立方法を聞きました。

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話を聞いた人

石谷 徳人さん

小児歯科専門医/イシタニ小児・矯正歯科クリニック

(いしたに・のりひと)歯科医師/歯学博士。イシタニ小児・矯正歯科クリニック院長。鹿児島大学歯学部臨床教授。専門は小児期からの咬合治療。鹿児島大学歯学部卒業後、鹿児島大学病院小児歯科勤務を経て、2008年に鹿児島県姶良(あいら)市にイシタニ小児・矯正歯科クリニックを開設。小児期からの生活環境を含めた口腔内の健康管理を小児歯科、矯正歯科、予防歯科のトータルでサポートしている。

始めたらどうなる? 子どもの歯列矯正のリアル

――子どもの矯正歯科治療について、保護者側にはどのような変化がありますか?

矯正歯科治療については、日々の臨床の中で保護者の意識の高まりを感じています。ちょうど自身が矯正歯科治療を経験した世代が親になってきていますからね。「自分の子どもにも早くから歯列矯正をしてあげたい」と思う方が多くなっているのでしょう。

「少しでも早く治療を始めたい」と言う保護者もいますが、子どもによっては歯が生え変わる前や生え変わり中の時期ではなく、永久歯が生え揃い、あごの成長が終了してから矯正すべきケースも少なくありません。矯正歯科治療は必ずしも早くから始めるのがいい、というものではないのです。

――矯正歯科治療によってかみ合わせがよくなると、学力や集中力にも好影響があるのでしょうか。

噛むことをはじめとしたお口の機能は脳機能に少なからず影響を与えることは、さまざまな研究によって知られています。例えば、プロ野球選手が試合中にガムを噛む理由の一つは集中力を高めるため。このように、噛むことによる刺激が脳に伝わり、脳機能そのものを活性化させると考えられています。

つまり、かみ合わせがよくなることによって、効率的に噛む機能が獲得でき、脳機能をより活性化させ、集中力の向上にもプラスに働き作用すると考えられます。その結果として、学力の向上も期待できると思います。

――矯正歯科治療を進める上で、子どもの生活には具体的にどのような影響があるのでしょうか?

矯正歯科治療は口の中にさまざまな装置をセットして行います。歯の1本1本に金属などのボタンをつけ、そこにワイヤーを通すことによって徐々に歯をきれいに並べていく「マルチブラケット装置」が代表的です。

口の中に装置をつけるわけですから、もちろん「装着による違和感」や「会話がしにくい」など、影響は少なからずあります。最初は困惑するかもしれませんが、これらは装着して1~2週間程度で慣れ、次第にほとんど気にならなくなります。

問題は食生活です。矯正装置には食事の際に取り外せるもの、取り外せないものがあります。マルチブラケット装置は取り外せないタイプですが、氷や硬い肉などを無理に噛むと破損してしまう恐れがあります。また、キャラメルなどの粘着性の高い食品は装置が外れる原因にもなるため、食べるものには注意が必要です。

また、歯磨きなどのホームケアをさらに丁寧に行う必要もあります。ほうれん草やニラなど繊維質が多い野菜は装置にまとわりつくため、お口の中に残りやすい。そのため、毎食後の歯みがきをこれまでより時間をかけて丁寧に行わなくてはならなくなります。

私たちは子どもに限らず、矯正歯科治療を始める際には、むし歯や歯周病のリスクに備えて歯ブラシ選びやブラッシング方法など、装置に応じた歯磨き指導を徹底しています。

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