早生まれに負けない子育て
元サッカー日本代表・内田篤人さん「早生まれでなかったらプロ選手になれなかった」
2021.01.15

サッカー元日本代表で3月生まれの内田篤人さんは、日本サッカー協会が早生まれを対象に実施した選考会で見い出され、プロ選手の座を勝ち取りました。内田さんは「早生まれを気にせず、スキルを身につけて」と子どもたちにエールを送ります。(写真は、ガンバ大阪戦で右サイドを攻める鹿島アントラーズの内田篤人選手(当時)=2020年8月23日、カシマスタジアム、伊藤進之介撮影)
大学進学と両にらみで清水東高へ
僕自身は幼いころから、早生まれであることをそれほど意識しませんでした。けれど、小学校のころは、背の順に並ぶと最前列で腰に手をあてているか、前から2番目。妻は小学校時代の同級生なのですが、当時はその妻を見上げていました。小学1年生の時に入った地元のサッカーチームでは、線も細くて、ボールを蹴ってもあまり遠くまで飛びませんでしたね。
身長は中学1年でぐっと伸びました。中学校では学校のサッカー部に入り、高校はサッカーが強く進学校でもある清水東を選びました。「サッカー選手になりたい」と思いつつ、そう簡単でないことも分かっていたので、大学進学も考えてのことです。親も大学に行ってほしいと思っていて、「清水東ならいいね」と言っていました。
実は、僕が受験する年から制度が変わり、遠方の清水東を志願できるようになったんです。清水東に進学したからサッカー協会の早生まれ選考につながった面がありますし、これもラッキーでした。

「U16」では、小学校のころから全国大会に出ている選手が多かったですね。当初は僕のことなんか誰も知らなかったはずですよ。中1の時は県大会の1回戦止まりで、中3では県大会にも出られませんでしたから。日本代表に選ばれて、良い仲間、良い指導者に出会えたことは本当にありがたいことだったと思います。海外遠征や練習から高校の部活に戻ると、「パススピードが速くなった」と言われましたし、高校のチームメートには今も「あのころからうまくなっていったよな」と言われます。
早生まれの子は、体格やパワーの面では不利になることが多いと思います。でも、小中学生のころはスキルを身につけるのに最適な時期です。足の運び方などの感覚を鍛え、基礎に時間を割いてほしい。体の大きさやパワーを頼りにやってきた選手は、高校ぐらいで頭打ちになる感があります。体格が追いついた時に差がつくのはスキルです。そこまで見越して、早生まれを気にせず頑張ってほしいですね。
多様なスポーツの経験も役立ちます。野球やソフトボールでボールの落下点に入って捕球する動きは、サッカーのヘディングにつながります。テニスの横移動の動きもサッカーに生かせる。いろいろな体の使い方をしておくことが大事なのではないでしょうか。僕自身、幼稚園のころにやっていたソフトボールや、子どものころに近くの山や川で友達と遊んだ経験が、今の体を作ってくれたと感じています。