コロナでどうなる大学入試

共通テストはやったけど、個別試験は実施できるの? 受験生や大学に広がる不安

2021.01.19

author
中村 正史
Main Image

緊急事態宣言の対象地域が広がる中で大学入学共通テストは実施されましたが、最大のポイントは2月から本格的に始まる私立大の個別試験や国公立大の2次試験ができるかどうかです。年明け以降、試験時間を短縮したり、個別試験の中止を決定したりする動きも出てきており、受験生や保護者、大学関係者は不安を募らせています。(写真は、座席を離した教室で共通テストに臨む受験生=1月16日、東京大で)

「入試直前の変更の可能性は排除できず」

東京圏に緊急事態宣言が発令された翌日の1月8日、個別試験を中止して共通テストで選抜することを公表したのは、山口東京理科大(山口県山陽小野田市)。2016年から公立になった大学だ。国立の電気通信大は同日、個別試験が実施できないと判断した場合は、共通テストの成績と調査書で合否を決定する可能性があるという予告をホームページに出した。

これに先立つ1月6日には、東京外国語大が英語の問題数を減らして150分から90分にするなど、遠方からの受験生が日帰りで受験できるよう変更した。旭川医科大は同日、看護学科の後期日程の集団面接を中止することを公表した。

受験生らが不安を募らせるのは、新型コロナウイルスの感染がさらに拡大した場合、個別試験ができなくなるのではないかということだ。難関の国公立大は2次試験の比重が高く、私立大も上位校は個別試験がメインの入試になる。仮に個別試験ができなくなれば、志望校を目指して努力してきたことが水泡に帰すことになりかねない。

過去には、2011年の東日本大震災のとき、計画停電で電車が動かず、東北だけでなく首都圏の国公立大でも実施できなかったことがある。昨年3月には北海道で新型コロナウイルスの感染が広がり、2次試験をやめて大学入試センター試験の成績で合格者を出した例もある。しかし、いずれも国公立大の後期日程が対象で、影響は限定的だった。今回も、個別試験ができなくなれば共通テストの成績で合否判定することになるだろうが、国公立大の前期日程や私立大も対象になれば影響は計り知れない。

例年、10万人以上の志願者が集まる明治大の河野理・入学センター事務部長は「入試直前期の大幅な変更は混乱のもとと考えているので、できれば避けたいところだが、今後の状況次第では変更の可能性を排除できないことに苦慮している」と話す(インタビューはこちら)。

私立大は共通テスト利用入試があっても個別試験がメインのところが多い。ところが、共通テストを使わない大学も、今回は特例措置として使う場合があることを昨年から公表している大学が結構ある。例えば早稲田大は理工系の3学部や教育学部は共通テストを通常は使わないが、今回は使う場合があることを配点と併せて公表している。

同じく10万人以上の志願者を集める東洋大は昨年9月に、個別試験ができない場合は共通テスト利用入試のみで選抜する可能性があることをウェブサイトで受験生に伝えた。加藤建二入試部長は「コロナは冬になれば再び拡大するのではといわれていたので、常に最悪の状況を想定しながら、さまざまなシミュレーションを行い、当初の予定通りの入試を実施するための準備を進めてきた。緊急事態宣言の発出と前後し、文部科学大臣から『共通テストは予定通り実施』の強力なメッセージが出され、受験機会を奪いかねない最悪の状況には至らなかった。入試が変更(中止)になると受験生は努力してきた成果を発揮することもできなくなってしまうので、やはり受験生を第一に、予定通り入試ができることがベスト」と話す(インタビューはこちら)。

各大学が神経を使っているのは、受験生への対応と並んで、試験監督者など大学の教職員のケアだ。教職員から感染者を出してはいけないので、試験監督の説明会をオンラインに切り替えたり、入試担当職員の部屋を分けて密にならないようにしたりしている。特に試験当日、具合が悪い受験生が一定の条件を満たせば試験を受けられる別室を担当する教員に対しては、持病のある人をはずし、医療用のマスクを用意するなど気を使っている。

新着記事