コロナでどうなる大学入試

東洋大・加藤健二入試部長「1大学単独での入試変更は、受験生の混乱を招く」

2021.01.20

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中村 正史
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新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、大学入学共通テストが実施されましたが、最大のポイントは2月から本格的に始まる私立大の個別試験や国公立大の2次試験が予定通りにできるかどうかです。年明け以降、試験時間を短縮したり、個別試験の中止を決定したりする動きも出ています。例年、10万人以上の志願者を集める東洋大学の加藤建二・入試部長(理事)に聞きました。(写真は、共通テスト前に距離を開けてノートなどに目を通す受験生=1月16日、東京大)

東洋大の加藤建二・入試部長

話を聞いた人

加藤建二さん

東洋大学理事・入試部長

(かとう・けんじ)1987年、学校法人東洋大学入職。教務部、入試部、総務部などを経て、2013年から入試部長。14年から学校法人東洋大学理事。職員生活33年中21年が入試部勤務。13年から紙の大学案内を廃止、オールインターネット出願に移行し、入試情報サイト「TOYOWebStyle」を始める。

想定の中では最悪の状況ではない

――入試直前にコロナの感染が拡大している現状をどうとらえていますか。

昨年春以降、感染の波はあったものの、冬になれば再び拡大するのではといわれていたので、常に最悪の状況を想定しながら、さまざまなシミュレーションを行い、当初の予定通りの入試を実施するための準備をしてきました。受験生が安心して試験に臨めるための環境を整えることに全力を注いでいる状況です。

――「最悪の状況」とは何ですか。

緊急事態宣言の発出などに伴い、共通テストが予定通りに実施できないことです。そうなった場合、入学時期そのものをずらす判断を国が行うのではないかと思っていました。

もちろん共通テストが実施されても、その後に控える各大学の個別試験が実施できない可能性も払拭できなかったので、共通テスト出願開始前の昨年9月半ば、ウェブサイトで東洋大学の個別試験ができない場合は共通テスト利用入試のみで選抜する可能性もあるので、共通テストの受験の考慮を促す旨のお知らせを掲出しました。

緊急事態宣言と前後し、文部科学大臣から「共通テストは予定通り実施する」と強力なメッセージが出されたことから、受験機会を奪いかねない最悪の状況には至りませんでした。さまざまな事態を想定し、準備を進めることは大切ですが、入試が変更(中止)になると、受験生は努力してきた成果を発揮することもできなくなってしまいます。やはり受験生を第一に、予定通り入試ができることがベストです。

――いま一番神経を使っていることは何ですか。

試験前日の会場の消毒や換気の実施など、感染拡大防止対策を十分に行った上で、受験機会を確保することはもちろん、受験生と大学スタッフである教職員などの安全・安心の確保も極めて重要です。無理してでも受験機会を無駄にしたくない受験生心理も理解できますが、そこは無理をせずにすむように、追試験や振替日程などを用意しています。仮に2月初旬の前期試験を体調不良で受けられなくても、中期(2月27日)や後期(3月5日)への振り替えができるようにしました。後期が受けられなかった受験生のためには、新たに追試験(3月15日)も用意しました。試験の途中、例えば2時限目で具合が悪くなった人も、改めて別日程に振り替えて受験できるようにしています。

このような対応は、昨年10~12月に実施した総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)についても同様に行い、具合が悪くて受けられなかった受験生のために1月9日に追試験を行いました。文科省は2月以降の入試に限ってこうした配慮を求めており、他大学でも総合型や学校推薦型で追試験をしたところはあまり多くはないと思います。

――受験生ばかりに目がいきがちですが、大学の教職員のケアも大事ですね。

大学教育の担い手である教員や、それを支える職員が担当する監督者の安全・安心を確保することは、大学運営の観点からもとても重要です。日頃の健康観察の徹底はもちろん、試験当日に具合が悪くなった監督者のために、予備の人員を多めに配置するなど、全学を挙げてさまざまな対応の準備をしています。

私たち入試部の職員からも感染者を出さないよう、作業部屋を分けたり、積極的にテレワークを併用したりして、「密」にならないように準備をしています。

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