学習と健康・成長

教育の男女格差、なぜ生まれる? 現状と問題点、専門家に聞く

2021.01.25

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有馬 ゆえ
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近年、男女の社会的性差を指す「ジェンダー」が広く知られるようになりました。ジェンダーに基づいた「男は/女はこうあるべき」という偏見は、多くの不平等を生みます。その一つが、男女の教育格差です。国際教育政策の専門家である畠山勝太さんは、「教育格差は雇用・賃金格差にもつながる問題」と話します。男女の教育格差の現状と問題点、格差をなくすための保護者の支援について聞きました。

Shota_Hatakeyama

話を聞いた人

畠山 勝太さん

サルタック・ジャパン理事

(はたけやま・しょうたさん)2008年から世界銀行本部に勤務。2012年からユニセフで教育統計の収集・分析支援や教育調査などに携わる。2017年、ミシガン州立大学教育大学院入学。ネパールの教育改革に取り組むNGOサルタック・ジャパンの理事としても活動し、公平で効率的な教育政策を通じて、貧困のない自由で平和な社会を作ることを目指している。

日本の教育におけるジェンダー不平等とは

――ジェンダーによる偏見は、さまざまな男女の不平等を生むといわれます。そもそも「ジェンダー」とは何か、改めて教えてください。

人間の性差は、「セックス」と「ジェンダー」の二つの面から語られます。セックスとは、生物的な性差のこと。ジェンダーとは、社会や文化によって形成される性差のことです。

この二つを完璧に切り離して考えるのは難しいですが、セックスが生まれながらの性差ならば、ジェンダーは成長していくにつれて身につけていく性差と言えます。社会における「男らしさ」「女らしさ」などと呼ばれるものは、多くがジェンダーによる性差です。

例えば、子どもの心身の発達を男女で比較すると、女の子の方が成長のスピードが速いといわれます。これは、セックスによる性差。一方で、「男の子は暴力的で、女の子は優しい」「男の子は競争が好きで、女の子は苦手」のような傾向は、ジェンダーによる性差といえます。

――教育の面では、男女にどんなジェンダー不平等が生まれるのでしょうか。

まず、女性の大学進学率、特に大学院進学率の低さが挙げられます。「令和2年版 男女共同参画白書」によれば、男子の大学進学率が56.6%なのに対し、女子は50.7%。大学院進学率は、男子が14.3%なのに対し、女子は5.5%。データのある先進国のなかで、修士課程で女性の方が少ないのは日本とトルコだけです。さらに、日本はそのトルコよりも格差が大きく、先進国のなかでワーストです。

さらに、日本のトップスクールである旧帝国大学では、大阪外国語大学と統合した大阪大学以外は、学生の女子比率が1/3以下。なかでも東京大学では、近年2割を超えたことが一度もありません。

また、女子は理系学部への進学率が低いこともわかっています。文部科学省「令和元年度学校基本調査」によれば、理学部の女子率は27.9%、工学部は15.4%。反対に、薬学・看護学等の学部は69.7%、家政学部は90.2%が女子という偏りも見られます。

これらのデータは、日本の女性が大学以降の教育、特に海外では雇用や高い賃金に結びつくと考えられている理数系の教育を受けられていないことを物語っています。こうした男女の教育格差は、男女の雇用・賃金格差にもつながる問題です。

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