海外の教育事情

フィンランドの体育授業、順位をつけない理由 日本とは違った課題も

2021.01.22

author
小林 香織
Main Image

「マラソン大会で子どもたちを競わせて順位付けしたら、運動が苦手な子はスポーツが嫌いになる」。テレビ番組でフィンランドのとある小学校校長の意見が紹介されると、Twitter上で賛否両論の声が上がりました。今回は、現地で小学生を子育てする日本人保護者3名に、フィンランドの体育の授業が子どもたちにどのような影響を与えるのかを伺いました。

「楽しむ」ことが第一のフィンランドの体育

フィンランドの学校教育では、子どもたちの個性を尊重し、自分らしく生きていくことに重点が置かれています。高校卒業時まで学力を測るための全国統一テストが存在せず、体育の授業でも順位を発表することはありません。その背景には、「子どもたちが純粋に勉強やスポーツを楽しめるように」との理由があるようです。

現地では、どんな体育の授業や運動会が行われているのでしょうか? お話を伺ったのは、高校2年生と小学6年生の息子を持つライターの靴家(くつけ)さちこさん、小学1年生と3歳の息子を持ち、コンサルティング会社経営と日本食レストランの共同オーナーをしている小菅祥之(こすげよしゆき)さん、小学3年生と6歳の息子を持ち、漫画で日本とフィンランドの文化交流をする団体「さんま雲」の代表をするマロさんの3名。

フィンランドでは、義務教育として7~16歳の子どもが通う「総合学校」があり、小学校1年生が7歳にあたります。

●体操着を着ない
「時々、体育館シューズを持っていくことはありますが、体操着はありません。体育がある日は、スウェットやジャージなどの動きやすい格好で通学して、そのまま授業を受けます」(靴家さん)

●低学年は遊びの延長のような内容
「週に1度程度、校外の体育館に出向き、ボールやつり革などの遊具を使って個々に好きな運動をしたり、冬にはスキーやスケートを習ったりすることもあります」(小菅さん)

「森の中に散歩に行ったり、オリエンテーリングのような活動をしたりしています。季節ごとのスポーツ体験もありますが、本格的な運動ではありません」(マロさん)

●高学年になると陸上競技も行う
「小学6年生の次男の学校では、体育は週に3時間。陸上競技やオリエンテーリング、プール、サッカー、スケートなどのスポーツが組まれています」(靴家さん)

フィンランド運動_1
小学校のスポーツ大会でやり投げをする様子(靴家さん提供)

●日本の運動会にあたるスポーツ大会は大々的なイベントではない
「日本の運動会にあたるのが、8〜9月頃に行われるスポーツ大会です。スポーツ大会は、体育で行う陸上競技の延長のようなもので、朝から夕方まで黙々と測定します。日本のように見せ物の要素はないので、保護者はあまり来ていません」(靴家さん)

順位を競わず、楽しむことに特化した授業が子どもに与える影響を聞いてみると、子どもによって度合いは変わるにしても、「体育を重荷に感じている様子はない」「遊びと同じ感覚で楽しんでいるように見える」とのこと。とりわけ運動が得意ではない子は、個々のペースに合わせた授業スタイルがマッチしているようです。

新着記事