海外の教育事情

フィンランドの体育授業、順位をつけない理由 日本とは違った課題も

2021.01.22

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小林 香織
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危険を伴う競技への参加を「義務」にしてはいけない

フィンランド運動_4

日本では、運動会で披露する組体操で生徒が負傷する事故が多発したことから、スポーツ庁が「組体操等による事故の防止について」という通知を2016年に出すなど社会問題にまで発展しました。現在は、組体操を禁止する、あるいはケガにつながるリスクの高いピラミッドやタワーのみを禁止する学校が多くあるものの、全面的に禁止はされてはいません。

また、愛知県の伝統行事であるファイヤートーチ(火のついたトーチを振り回すパフォーマンス)についても、男子中学生が練習中に大火傷を負ったとして2019年に報道されました。

伝統的に継承してきた競技として大切にされてきた組体操やファイヤートーチですが、危険が伴うのは紛れもない事実。フィンランドに住む保護者3名の考えはーー。

「実際に事故が多発している競技は論外であり、続けるべきではないと考えます。教育において、子どもの安全性を軽視してはならないと思います」(小菅さん)

「私自身は組体操やファイヤートーチの経験はないのですが、過度に危険だと思われるものは不安ですよね。子どもにかかる負荷などを十分に検証して安全性が保てないと判断できることは、やめたほうがいいのでないかと思います」(マロさん)

「全員強制参加の組体操やファイヤートーチはなくして、得意な子や熱心な子が任意で参加できるクラブというカタチで残せば良いのではと思います。例えば、アメリカのチアリーディングも危険が伴う競技ですが、やりたい人がやって、評価されていますよね。それと同じ考え方です」(靴家さん)

3名に共通していたのは、危険を伴う競技への参加を「義務」にするべきではないという意見。一般的に、運動会のパフォーマンスとして行われる組体操やファイヤートーチを「危険だからやらせない」と保護者の判断で避けるのは難しいでしょう。完全に廃止することについて反対意見が出るようなら、「義務」ではなく「任意」での参加を選ぶことができれば、双方が納得できるかもしれません。

現地には日本とはまた違った課題があり、競わなければ誰もがハッピーともいかないのが真実です。ただ、少なくとも競わないことで過度な劣等感を抱かなくなり、「運動が大嫌い」になる子どもは減らせるのではないでしょうか。

(編集:ゆきどっぐ+ノオト)

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