『ドラゴン桜2』桜木建二が教える 2020教育改革
清水章弘さんに聞いた 我が子の成績を伸ばす親のサポート術
2021.01.25

前回、朝日新聞EduA執筆陣の一人で、「200字まとめ作文」でもおなじみの清水章弘さんに、受験の成否を大きく左右する塾選びのポイントを教わり、大切なのは「自ら学ぶ姿勢を身につけること」などといった話を伺った。
清水さんの話から、塾の役割や有用性はよくわかるものの、子どもの生活のベースになるのはあくまでも家庭ではないか。「学べる子ども」にするために、親ができるのはどんなことだろうか。引き続き、清水さんにアドバイスをもらった。
学習計画や目標設定のサポートこそ、親の役目
「結果とプロセスの両方を見てあげるように、心がけましょう。親はどうしても試験の点数とか受験の合否など、結果だけを見てしまいがちです。
中学生なら中間試験の結果を手にしながら、この教科が弱い、もっと点数を取れるはずだと言い募り、あとは期末試験の期間まで『ちゃんと勉強しなさい』としか言わないことが多くないでしょうか?
勉強しろという頭ごなしの言葉には、子からもれなく『いま勉強しようと思ってたのに! あーあ、もうやる気なくなった』というおなじみのフレーズが返ってきてしまうばかりでは?」

ここはひとつ、具体的に子を導く言動が必要というのだ。
「代わりに勉強してあげることはできませんし、その必要もありませんが、計画を立てて勉強の道へ導く協力はできます。そう、学び方を教えて、習慣づけてあげるのは大人の役割だろうと思います。
やるべきことを明確にして、それを細分化したり、1日にやる分量を見積もってあげたり。
計画を立てるにしても、子どもは『じゃあ毎日、朝5時に起きて勉強する!』などと極端なことを言い出しがちです。
それは続けるのが難しいから、こうやって時間をつくったら?と、せっかくのやる気を継続できるかたちに整えてあげることが大切でしょう」
ものごとは決して予定通りになんていかないことも、大人はよく知っているはずだな。
目標を立てるにしても、「チャレンジ目標」「適正目標」「最低ラインの目標」の3本立てにして、転ばぬ先の杖を用意しておくことなんかも、具体的に示してやるべきなんだ。
「自学力」は順を追って身につけよう
子どもが自律して学べるように仕向けていくのが大切―。そうは言っても、いきなりすべてを丸投げしてはいけない。
獅子は子を千尋の谷に落として育て鍛えるというが、そこに真理があるとすれば、親獅子はちゃんと子が自力で上がってこられる程度の深さの谷を選んで、突き落としているはずだ。
「自転車の乗り方を覚えるときと同じです。最初は補助輪をつけておかないとなかなか乗れませんよね。
できるようになったら片方だけ外し、さらに上達したら両方外す。そのあともうしろから支えてあげて乗ってみて、様子を見ながらちょっとずつその手を離してあげる。そうしてようやくひとりで乗れるようになるものです。
みずから学べる『自学力』をつけないと、大学受験には太刀打ちできないし、大学に入ってからも困ってしまう。だからといって、手をかけないで放っておけばいいというものでもありません。自習のしかたを、順を追って教えてあげなければ。
プラスティーではその方策として、授業と自習の間に『管理自習』というものを用意しています。授業が終わったら、その場に残って先生の見えるところで自習をする。
自分でできそうだなとなれば、自習室を使っていいよということになります。自学のしかたを学ぶプロセスは必要なのです」
子どもの「わかった」を疑え
自学力を養うためのプロセスを、うまくつくってやるのは大人の役目である。そうなると、親も意識を変える必要がありそうだ。
忍耐力をもって子に接しなければいけないし、声かけのテクニックもいるだろう。
「そうですね、たとえば『勉強どう? だいじょうぶ? この問題わかった?』などと、つい子どもに聞いてしまいがちですが、そう聞かれれば子どもはたいてい『だいじょうぶだよ!』と答えます。
これは反射のようなものなので、本当にだいじょうぶなのか、学習内容を理解しているかどうかはほとんどわかりません。
そういうときは、『覚えたこと、お母さんに教えてくれる? 説明してみてくれない?』とたずねたり、同じ内容だけど角度の違う問題を『じゃあこれも解ける?』と出してみたりしましょう。
大人が子どものふるまいを評価するときは、アウトプットを評価すべきなのです。『だいじょうぶ』という言葉は、アウトプットではありません」