文系、理系の壁

関西の進学校を中心に理系が増加 灘校長「増えた分は医学部志望」

2021.02.15

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中村 正史
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柿崎明子
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最近十数年は、大学入試で文系より理系を志望する生徒が増えています。とくにその傾向が顕著なのが関西の進学校。代表格ともいえる灘中高の和田孫博校長に、背景を聞きました。一方、東の開成、都立西などでも同様の現象がみられるのでしょうか。東京にも、理系教育に力を入れ、文理が逆転した私立女子校があります。(写真は、立教大の「チャレンジ・ラボ」。学部や大学院の女子学生がアシスタント役となり、女子中高生と実験を行って、理系の魅力をアピールした=2019年9月)

文理が逆転した東京の吉祥女子

一方、東京では、理系が多い進学校でも、増え方は緩やかなようだ。灘同様、中学入試で算数力を求められる開成では、7対3くらいで理系が多いが、この10年間は大きな変化はない。野水勉校長は「理系が多いのは、世相を反映しているのかもしれない。医学部志望はずいぶん前から多く、人気は根強い」と言う(インタビューはこちら)。

都立西では、理系志望が55%と若干多いが、以前とあまり変化はない。萩原聡校長は「理系人気というが、AI(人工知能)やデータサイエンスなど分野に偏りがあるように思う。高校で幅広く教科・科目を学ぶことは、世の中の動きを知るために大切なこと。本来は文理に分けること自体がどうかとも思うが、限られた3年間では大学受験に向けて調整せざるを得ない」と言う(インタビューはこちら)。

理系教育に力を入れ、進学実績を伸ばした吉祥女子は、2000年代初めは7クラス中、理系が2、文系が5だったが、15年を境に文理が逆転し、現在は理系が少し多い。理系志望は医、薬、看護など医療系が半数を占める。杉野荘介広報部長は「理系や医療系を目指す生徒の受け皿になっており、中学受験の段階で理系志向の生徒が選んでくれている。その結果、さらに理系教育が充実し、理系への好循環が生まれている」と話す(インタビューはこちら)。

駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業は言う。「関西で理系志望が多いのは、医師など富裕層の子どもが小学生から塾通いをして進学校に入るようになったこと、関西の地場産業が低迷し、地元に残るには医師が有力な選択肢になることが大きな理由だ。文系は子どもに将来のビジョンやサクセスロードを示せなくなっている。文系の魅力がなくなるのは、国力を考えるとよくないと思う」(インタビューはこちら

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