文系、理系の壁

文理融合による「第三の人材」どう育てる? 女子校でデータサイエンス教える動きも

2021.02.16

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中村 正史
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大学受験で文系、理系に分かれても、最近は文系社員が多い企業でAI(人工知能)やデータサイエンスの基礎を教える動きが出てくるなど、実社会では「文理融合」が求められています。文系と理系の両方の素養を持った「第三の人材」をどう育てたらいいのでしょうか。データサイエンス教育を始める東京の女子校の取り組みのほか、識者の声を聞きました。(写真は、理系の女子学生を増やそうと、東北大が開いた女子高生向けのイベント=2016年10月)

私大文系受験生の数学離れが問題

2021年度から中高一貫でデータサイエンスの授業を始めるのは、東京女子学園中学・高校。河添健校長は「典型的な文系の中高一貫校だが、中学と高校で生徒が楽しくなるような授業を行う。数学を教えようとすると数学嫌いになるので、3Dプリンターを使ってものを作るなど、データにまつわることから興味を持ってもらおうとしている」と話す(インタビューはこちら)。

河添校長は数学者で、慶応義塾大湘南藤沢キャンパス(SFC)で総合政策学部長を長く務めた。高校1、2年で文系、理系に分かれ、私大文系コースの生徒は数学の勉強をやめてしまうことが多い現状に疑問を持っている。「日本はずっと文理の縦割りになっているのに、大学でいきなりデータサイエンスを学ばせようとしても無理。この構造を変えなければいけない。今回の取り組みが、私大文系に進む生徒が多い中高一貫校のスタンダードになってほしい」

教育社会学者の濱中淳子・早稲田大教授は、開成、灘の私立2高校と、浦和(埼玉)、湘南(神奈川)の県立2高校の主に30~50代の卒業生を対象に行った調査で、年収を聞いている。人文・社会系の学部を出た人の平均年収は1110万円、理・工・農学系は965万円。一般的な平均年収よりかなり高く、文系が上回る。一方、首都圏の一般大卒男子を対象にした別の調査データでは、理・工・農学系の方がやや収入が高かった。二つの調査結果を見る限り、年収は理系が高いとは必ずしもいえない。濱中教授は「残念だと思うのは、高校の文理選択による『限定した学び』が、大学に進学してからも基本的に変わらないこと。今は専門知が問われ、数字と言葉の両方を大切にしながら伝えないと、説得力のある話はできない。まずは一人の頭の中で考えられることがポイントだ。文系、理系というのはあくまで出発点であって、大事なのはそこから先」と話す(インタビューはこちら)。

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