コロナでどうなる大学入試

2次の学力試験中止で出願者減 横浜国大と信州大の受け止めは?

2021.02.11

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上野 創
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2021年度入試で一部の大学は、個別(2次)試験の学力検査などを取りやめました。受験生が移動することで、新型コロナウイルスに感染したり、周りに広げたりしないようにという配慮でした。そうした大学では、一部の都府県で緊急事態宣言が出ている最中に各地から受験生を集めて試験をせずに済んだ一方、出願者は減りました。早い時期に方針を打ち出していた横浜国立大と、一部の学部で個別試験を中止した信州大の担当者はどう受け止めたのでしょう。(写真は、横浜国立大のキャンパス=同大提供)

横浜国大「新入生の学力の不安、それほどない」

横浜国立大が一般選抜で、大学を会場とした個別学力検査をやめると公表したのは昨年7月末。県外から来る受験生が多く、実施すると感染リスクを高めてしまうというのが理由でした。結果として、2月9日時点での出願倍率は、各学部で昨年と比べて下がりました。こうした点などの受け止めを、根上生也副学長・理事(教育・広報担当)に聞きました。

――出願倍率は、経営学部の前期で昨年の2.1倍から2.4倍に少し上がった以外は下がりました。前期で見ると教育学部は2.3から2.2、経済は4.3から2.5、理工は3.5から1.8、都市科学は4.0から2.5となっています。

トータルの受験生の数でいうと、約7千人が4千人になったので、大きな減少ではあると思います。ただ、受験生は共通テストの結果からある程度、自分で合否の可能性を見極められるのだから、減るのは当然です。横浜という土地が敬遠されるかもしれないと思いましたが、地元の神奈川や関東圏の割合が大きく増えたということはなく、地域的にはおおむね今までと同じでした。ほっとしています。

もう一つ懸念していたのは、後期日程への出願が「水ぶくれ」にならないかということ。つまり、共通テストの結果が良かった層が、2次の筆記試験がないなどという理由でたくさん出願してきた場合です。これまで、「センター試験で失敗しても挽回できるのが横浜国大」と思われている面がありましたが、共通テストの成績が良かった層が多く出願した場合、前期日程で他の大学に合格して抜けてしまう可能性があるので、特に後期日程の合格ラインを決めるのが非常に難しくなるという不安があります。

結果はまだ分かりませんが。

――一部で出願倍率が2倍を割っているのも想定内でしょうか?

前期で2倍以下というのはちょっと想定外ですね。昔で言うところの(難関の多い)1期校を受ける層が受けてこないということですので。共通テストが不出来で、一部が横浜国大を敬遠したということではないでしょうか。

――入ってくる学生の学力という点はどうでしょう。

出願した人の共通テストの点数は来ていますが、まだ分析していないのでなんとも言えません。

入ってくる学生の学力については、気にはなりました。でも、ある意味では共通テストの結果が振るわなかった層が受験しなかったということだと思うので、学力への不安についてはそれほどではないです。そもそも、今回の個別学力検査をしないというのは、あくまで受験生の不安をこちらが受け止めるというスタンスでの決断ですから。

ただ、例年は出願が始まるとどっと来るのですが、今回はなかなか来なくて「やばいな」という雰囲気は漂っていました。その後、どぉっと来て良かったということでした。一般的に2倍を切ると良い学生は取れないと言われますが、今回、そこそこの倍率で、そこそこの競争になるのでそれは良かった。私学へ抜けていく学生の動きが読みにくいので、合格ラインの設定は難しいですが。

――共通テストでほぼ合否が決まるという判断に対して、周りからの反応は?

決断した当初、高校の先生からは受験指導がしにくいという声がありました。3年生がその後の授業で、学力検査で課されないから数学Ⅲをちゃんと勉強してくれなくなるんじゃないかとか。ただ、校長先生たちに学長があいさつに行ったときには、「よく決断してくださった」と言われました。コロナ感染に対する安心ということだけでなく、2次の学力検査がどうなるかという不安を解消するという点でも、受験生の安心を確保してあげられたので。

実際、この緊急事態宣言が出されていろいろな大学が右往左往したのでしょうけれど、本学は特に揺れることがありませんでしたので、そういうことを歓迎してくれる意見もあります。

もう一つの安心は、コロナで必ずしも十分に勉強できなかった分も、入学後にきっちりケアしますという点です。出願開始の1月25日の直前に、ホームページ上の学長のメッセージでも伝えました。内容は去年の7月末から出しているものの繰り返しですが、出願するときに改めて考えてください、安心して出願できますよという受験生へのメッセージです。

入試はある意味で、入学後に必要な学力を検査するもの。今回は筆記がなく、理系では数Ⅲ、文系では論述とかを課さないけれども、入学後に少人数のセミナーなどできちんと指導しますよ、ということです。

――共通テストの結果での合否判定は今後も続けますか。

次年度は元に戻すつもりです。状況によっては新たな判断になりますが。

入試問題は大学から高校生へのメッセージなので、それがない入試は本来的ではないと思っています。

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