大学入学共通テスト 傾向と対策

進学校の先生の見方⑧都立桜修館中教「問題設定から情報を引き出す力問う、適性検査と類似」

2021.02.19

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柿崎明子
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大都市圏などに緊急事態宣言が出るなか、初めての大学入学共通テストが、第1日程(1月16、17日)、第2日程(30、31日)ともに行われました。文部科学省が意図する「思考力・判断力・表現力」を測れる出題だったのでしょうか。また、両日程の公平性は保たれたのでしょうか。進学校として知られる高校の先生に聞きました。第8回は、東京都立中高一貫校の桜修館中等教育学校です。(写真は、都立桜修館中等教育学校の校舎=同校提供)

【話を聞いた人】桜修館・真柴先生

話を聞いた人

真柴拓哉さん

桜修館中等教育学校進路指導主任

(ましば・たくや)理科(化学)教諭。2014年桜修館中等教育学校に着任。20年から現職。

前期課程の独自教科で読解力養う

――今回の共通テストは、文部科学省の意図する「思考力、判断力、表現力」が試される出題だったと思いますか。

どの教科でも文章量が多く、問題文をもとに考えて解く内容になっていたと思います。文科省の狙いは、ある程度反映されていたのではないでしょうか。本校では中学校にあたる前期課程で、独自教科の「国語で論理を学ぶ」「数学で論理を学ぶ」を設定しており、読解や記述が得意です。それが今回の試験で強みになったと感じます。

――共通テストの出来が、生徒の志願校に影響を及ぼしたケースはありますか。

対策がしっかりできており、生徒たちはそれなりの点数をあげていたので、ぶれることはそうなかったです。今年の受験生は、共通テストの制度変更に加え、コロナにも振り回されて、メンタル的にしんどかったと思います。ほとんどの生徒が第1志望をそのまま貫いていますが、留学した経験や探究活動などをもとに総合型選抜(AO入試)にトライする生徒もやや増えました。

――共通テストの試行調査が、公立中高一貫校の適性検査問題に似ているといわれました。

確かに似ている部分もありました。共通テスト本番も、もっと会話形式が増えて劇的に変わるのではと思いましたが、それほどではなかったですね。とはいえ、問題設定の中から必要な情報を引き出す必要がある点が、適性検査に似ています。たとえば、理科なら自分でグラフを正確に作成するなど、データ処理をしたうえで考察する作業が加わりました。単に知識を暗記して答えるパターンではなく、初めて出てくるシチュエーションに対して情報を引き出していくという設問の形式が、適性検査に近いと感じました。

――桜修館の適性検査は、独自問題の作文が特徴的です。

写真や絵を見て自由記述させる問題が過去にメディア等でも多く取り上げられました。近年は、問題文を出し、読解したうえで,その文章に沿わせて、自分の意見を書かせる出題となっています。

――共通テストが旧センター試験と変わったのは、なぜだと思いますか。

社会で求められる力が変わってきているからだと思います。ゼロから生み出す力が必要になっている。今までのように大量に暗記させて、そこから暗記を再現させるような問題では、その力を測ることができません。

入試が変わらないと、学校の学びもなかなか変わりません。今回の共通テストでは、学びを変えていこうというメッセージも伝えていると思います。その意味では中学入試のほうが、大学入試よりも一歩先んじているかもしれません。

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