コロナでどうなる大学入試

東大の推薦合格者が過去最多、女子の割合も 関東以外の割合減はコロナ禍が影響か

2021.02.17

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上野 創
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東京大学は2月16日、学校推薦型選抜(推薦入試)で92人が合格したと発表しました。募集の100人には満たなかったものの、実施した6年間で最多。女子生徒の割合も最も高くなりました。一方、多様性の指標としていた「関東以外出身者」の割合は低下し、大学側は要因としてコロナによる地元志向の可能性を挙げました。(写真は、東大本郷キャンパスの安田講堂)

出願が大幅増、「改革の成果」

東大の推薦入試の合格者は初年度の77人が最多で、以後は70人を切る年もあり、定員に満たない状態が続いて懸案となっていました。今回は出願者が前年の173人から94人増えて267人になり、合格者も昨年の73人から20人も増えました。

推薦入試担当の武田洋幸副学長は16日の記者会見で、「昨年度までは各校男女1名ずつという条件だったが、今回は男女各3名、合計4名までと緩和し、期待した推薦入試だった。コロナ禍にもかかわらず皆さんが積極的に応募をしてくださって、基準を下げたわけではないのに多くの学部で定員に達していて、非常に成功した。優秀でユニークな学生が多く入り、当初目標の100人に近づいている。全体としては改革の成果が出た」と語りました。

東大の学校推薦型選抜、学部別の合格者数
東大の学校推薦型選抜、学部別の合格者数

推薦入試を始めた目的は、多様な学生を受け入れるためでした。一定の成績をまんべんなく取って合格する一般入試と異なり、受験生の意欲や伸びる可能性、高校側の評価を重視します。一般入試では「文科Ⅰ類」など科類別で募集しますが、推薦は募集と選考を学部別でするのも特徴です。早くから専門性に目覚めた生徒を招き入れる目的もあるとのことです。

5回実施した段階で大学内で振り返ったところ、推薦入学者は社会への問題意識やプレゼン能力、リーダーシップ、協調性などで高い評価でした。ただ、合格者が定員の7割程度にとどまっている点を改善するために応募を増やす必要があると判断し、1校あたりの推薦人数を男女1人ずつから男女各3人まで、合計4人までと広げました。共学校は最大2人だった応募可能枠が4人まで、男子校や女子校は最大1人だったのが3人まで増えたことになります。

この「効果」について16日の記者会見で、「その枠をフルに出してきた高校もある。ただ、特別、固まっているわけではなく、全体として増えているという傾向で私たちは満足している。当初、進学校中心に応募が増えるのではないかという懸念があって皆さんから指摘されていたが、全体としてはそういう傾向は見られていない」とのことでした。

女子学生の割合、人数は年々増加

今回の推薦入試で、合格者に占める女子生徒の割合は約45.7%と最多でした。昨年の45.2%からは微増ですが、初めて実施した2016年度の37.7%から年々、上昇しています。

東大の学校推薦型選抜、出身地と男女比
東大の学校推薦型選抜、出身地と男女比

東大はそもそも、学部生の女子割合が2割以下という「ジェンダーギャップ」が課題となっています。日本全体の約45%と比べて低い状況にあり、19年には社会学者の上野千鶴子・東大名誉教授が入学式の祝辞で「2割の壁」に触れて批判をしました。

それに比べると、推薦入試の合格者は女子学生の割合が多くなっています。

入試担当理事の福田裕穂副学長はこうした点も踏まえ、「東大の入試の一般的な傾向として、志願者の女子の比率がそのまま合格者の比率になる。女子高校生にさまざまなメッセージを送っていて、東大を受験してくれるような施策を考えたいと思っている。推薦はたくさんの女子に受けてもらっているので、女子を掘り起こすのに役に立っている」と語りました。

共学の高校は男子のみを推薦することも可能ですが、東大は男女両方から同じ比率で出してほしいというメッセージを出してきました。それが、推薦合格者の男女比が大きく違わない理由の一つだといいます。

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