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カリフォルニア大デービス校・藤田斉之さん「日本の教育の脆弱性をコロナが露呈した」

2021.02.22

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中村 正史
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海外の大学から日本の大学教育はどう見えているのでしょうか。新型コロナウイルスによってオンライン授業が導入され授業が変わったことは、どう捉えられているのでしょうか。カリフォルニア大学デービス校国際教育センターで海外向けの教育プログラムを統括するディレクターの藤田斉之さんに聞きました。(写真は、広大な敷地を持つカリフォルニア大学デービス校のキャンパス。学生数約3万5000人で、デービス市の人口約7万人の半分にあたる=同校提供)

藤田斉之

話を聞いた人

藤田斉之さん

カリフォルニア大学デービス校国際教育センターディレクター

(ふじた・なりゆき)奈良県出身。高校卒業後、米アイオワ州のワートバーグ大学英語学部を経て、カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院を修了。専門は英語教授法。1997年、カリフォルニア大学デービス校国際教育センターに英語教員として着任し、以後、国際教育センターのさまざまな教育プログラムを開発・主導している。

英語研修の需要があるのは日本だけ

――カリフォルニア大学デービス校(UCデービス)は、日本の大学とどういうつながりがありますか。

理系向けにプレゼンテーションとクリティカルシンキングを指導するプログラムEnglish for Science Technology(EST)を提供しており、この数年で東北大、東京工業大、お茶の水女子大、九州大、芝浦工業大、中央大、東京理科大、法政大、立命館大、関西学院大などが参加しています。2月と8月に4週間、UCデービスで学ぶプログラムで、シリコンバレーが近いので起業家精神をカリキュラムに組み込み、特色を出しています。新型コロナウイルスで移動ができなくなったので、2月中旬からリモートバージョンでの提供を始めました。

もともとは15年くらい前に奈良先端科学技術大学院大学から「学生を派遣するので英語の研修をしてほしい」と依頼があり、当時は既存の異文化研修プログラムを提供しました。ただ、私は理工系の大学院に必要な英語はこれではないだろうと思い、日本の理工系の大学にどういう知識や技能を求めているかをヒアリングして、プレゼンテーションとクリティカルシンキングであることを知り、それに基づいたカリキュラムをつくりました。

大阪大の修士課程の大学院生を対象に、研究論文を使ってプレゼンテーションの仕方をマスターさせる毎年夏の4週間のプログラムは、8年くらい続いています。現在はこのプログラムに芝浦工業大や中央大の大学院生も参加しています。

立命館大にはこの2月初めから、4週間のオンライン留学のプログラムを提供しており、79人が参加しています。

――UCデービスは理系の大学ですか。

カリフォルニア大学は10校ありますが、最も古いバークレー校の農学部として発足したのがUCデービスで、2番目に古い大学です。大学ランキングでは、農学部は全米1位、獣医学部とワイン醸造学部は世界トップレベルで、研究大学なので理系が前面に出ますが、学部は100以上ある総合大学です。

――英語研修の需要があるのは日本だけと聞きました。それだけ日本の英語教育は遅れているということですか。

そうです。英語研修のプログラムに、昔と変わらず需要があるのは日本くらいです。日本では小学校に英語が教科として入りましたが、中学・高校と6年間学んでも、いまだに英語が使えず、それはこの30年くらい変わっていません。アジアの途上国と比べても日本は遅れています。

他国の場合、例えば中国も韓国もそうですが、プログラム名にEnglishと入るとPR的にはマイナスなのです。コンテンツの内容に魅力がないと採用されません。悲しいですが、それが現実です。

UCデービスのアメリカンフットボールチームは、米国の大学が参加するカレッジフットボールの1部に所属する強豪。キャンパス内にあるグラウンドで試合を観戦する学生たち= 同校提供
UCデービスのアメリカンフットボールチームは、米国の大学が参加するカレッジフットボールの1部に所属する強豪。キャンパス内にあるグラウンドで試合を観戦する学生たち=同校提供

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