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カリフォルニア大デービス校・藤田斉之さん「日本の教育の脆弱性をコロナが露呈した」

2021.02.22

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中村 正史
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生涯教育の欠如、高校での文理選択も大きな課題

――生涯教育がいっこうに進まないのも、ずっといわれている日本の課題です。

企業での働き方も変わります。日本では今回のコロナでテレワークが始まりましたが、米国ではコロナ後も全面的にテレワークに切り替える企業が出てきています。そうなると本社ビルはいらない、シリコンバレーにいなくてもいいということになります。

これまでの出来事を振り返ればわかるように、米国でムーブメントが起きると、10年以内に日本に入っていきます。ところが、日本では例えば年俸制もそうですが、細部に日本的な要素が残り、利点を生かせない構造があります。

同じことは教育にもいえます。生涯教育は米国でも重要になってきます。オンライン教育はコロナのまっただ中の解決策としてあるわけではないのです。オンラインの良さは、国内だけでなく海外でも、自分に必要なものを受けられることです。これからは自分の力を常に見つめる時代になります。コロナ禍のオンライン留学といった小さな話ではありません。5年後、10年後に欧米でそれが当たり前になった時に、日本はどうするのでしょうか。必要なのは自分を見極める力です。

米国はものすごくシビアな社会で、自分に力をつけない限り、安泰ではなく、力がなければ切られてしまいます。

――日本は高校で文系、理系に分かれることの弊害も指摘していますね。

私は奈良県の出身で、高校では文系を選びましたが、いま米国にいて、いろいろと思うことが多いです。米国の高校は単位制で、好きな科目を取ります。カリフォルニア州の高校は、3年間の英語と社会学、2年間の数学と科学、1年間の外国語を修了しないと卒業できません。ですから全員が学ぶわけです。日本のように数学が苦手だから文系という選択を高校の早い段階ですると、その後にどういう才能が開花するかわかりません。

しかも日本の大学入試は学部に対する入試になっています。米国は学部を決めるのは大学2年の末が一般的です。カリフォルニア大学では、最初の2年間で様々な科目を受講し、その中で将来の方向性を決めます。例えば様々な学部、学科が存在しているカレッジ・オブ・レターズ・アンド・サイエンスでは、自分にふさわしい学部や学科を2年修了時に自由に決定します。学生個々が自分の特性に応じて、いろんな分野を学んで、面白いと思った分野に進んでいきます。

これは理にかなっていて、15~16歳で自分の将来が決まっている人は少ないでしょう。その時点で決めた分野に行ってしまう日本の現状は問題です。

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