企業入社難易度ランキング

「企業入社難易度ランキング2020」運輸・倉庫・電力・ガス 1位川崎汽船、2位日本郵船、海運とガスが上位

2021.02.23

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井沢 秀
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大学入学時の難易度が高い、つまり地頭がよい学生は、就活でどのような企業を志望し、また企業は実際にどのような大学の学生を採用しているのか。大学通信は大学へのアンケート調査で収集している企業別就職者数と、大学入学時の偏差値を組み合わせて、「企業入社難易度」を算出した。業種別の今回は、運輸・倉庫・電力・ガス。大学通信の井沢秀・情報調査・編集部部長が解説する。

鉄道は京王電鉄が最上位、採用が見通せない航空

運輸・倉庫・電力・ガスの入社難易度の上位には、海運大手3社(売上高順に日本郵船、商船三井、川崎汽船)が入っている。

1位は川崎汽船。石油、石炭、LNG(液化天然ガス)などの輸送に加え、国内外におけるコンテナターミナルの運営や、海上以外の物流事業にも力を入れる。採用数が多い大学は、上智大(6人)、神戸大(5人)、東京海洋大、大阪大、慶應義塾大、早稲田大(各4人)などとなっている。

2位は、海運業の売上高首位の日本郵船。源流は岩崎弥太郎がいた土佐藩の九十九商会(後の三菱商会)にさかのぼり、1885(明治18)年に設立された、三菱グループの中核企業の一つ。海運だけでなく、航空運送事業や物流事業、不動産事業など幅広く事業を展開している。2019年に世界初となる有人自律運航船に向けた自動航行の実証実験に成功した。

同社の採用大学は、早稲田大(8人)、慶應義塾大(7人)、神戸大(6人)、東京海洋大、京都大(各4人)など。

4位の商船三井は、LNG輸送に強みを持つほか、温室効果ガス削減のため、風力を利用して航行する硬翼帆式風力推進装置(ウインドチャレンジャー)を搭載した石炭船の開発にも取り組んでいる。採用大学は神戸大(6人)が最多で、北海道大(5人)、東京海洋大(4人)、大阪大、早稲田大(各3人)などが続く。

海運大手3社の採用大学の特徴は、海洋と船舶を教育研究の対象とする海事科学部を持つ神戸大と、東京海洋大が採用数の上位に入っていることだ。

鉄道の最上位は、7位の京王電鉄。採用大学は、慶應義塾大(6人)、中央大(4人)、法政大、明治大、早稲田大(各3人)など。京成電鉄(12位)や東武鉄道(13位)など採用数が少ない私鉄が上位に入っている。採用数が多いJR東海(21位)、JR西日本(22位)、JR東日本(23位)は、採用大学の裾野が広いため、入社難易度はさほど上位には挙がっていない。

航空は新型コロナウイルスの影響を強く受けている。2021年卒の新卒採用が中止になり、2022年卒の採用も見送る企業が出ており、採用状況は見通せない。今回の調査結果は2020年卒が対象のため、比較的幅広い大学から採用している。そのため、学生の人気企業でありながら、日本航空(14位)、全日本空輸(15位)ともにベスト10には入っていない。

採用数が多い大学は、日本航空が早稲田大(53人)、慶應義塾大、関西外国語大(各41人)、青山学院大(32人)、立教大(30人)など。全日本空輸が青山学院大(41人)、慶應義塾大、早稲田大(各32人)、上智大、関西学院大(各29人)など。航空の採用状況は、早稲田大と慶應義塾大を除き、採用者の多くをキャビンアテンダントが占める。

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