部活と勉強 両立するのか

教育社会学者・須藤康介さん「高校での部活時間は学習時間を短くする」

2021.02.25

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中村 正史
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中学、高校への進学を控え、部活動をどうするか悩んでいる生徒もいることでしょう。部活動で疲れ切って、家に帰ったら寝るだけの我が子を心配している保護者も多いはずです。部活動の時間と学習時間の関係はあるのでしょうか。部活動に熱心だった生徒は引退後に勉強を頑張るというのは本当でしょうか。調査結果を分析した明星大学の須藤康介准教授に聞きました。(写真は、新型コロナウイルスの感染防止策に努める高校のバレーボール部員)

須藤康介

話を聞いた人

須藤康介さん

明星大学教育学部准教授

(すどう・こうすけ)東京大学大学院教育学研究科比較教育社会学コース博士課程修了。博士(教育学)。2017年から現職。専門は教育社会学、学校社会学。著書に『教育問題の「常識」を問い直す』『学習と生徒文化の社会学』など。上智大学、昭和女子大学などでも授業を担当している。

部活と学習時間、中学と高校で異なる結果

――部活動の活動時間と学習時間との関係を調べた調査は、あまり見当たりません。「中高生の部活動時間が学習時間に与える影響」を調査しようと思ったのはなぜですか。

私は大学の授業のテーマの一つに部活動を取り上げています。その準備で先行研究を調べてみましたが、部活動と勉強時間の因果関係については意外と研究がありません。多くの人が興味を持つテーマなのに、これまできちんとした研究がないのなら、自分がやってみようと思いました。

――『子どもの学びと成長を追う――2万組の親子パネル調査から』(勁草書房、2020年)の中で、「部活は勉強のジャマにならない」「部活を頑張った人は引退後に勉強を頑張る」という、以前から学校現場などでいわれていた二つの命題を検証していますね。

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が2015~19年度に行った「子どもの生活と学びに関する親子調査」のデータの中から、15→16→17年度で中1→2→3、高1→2→3と進級した生徒と、16→17→18年度で中1→2→3、高1→2→3と進級した生徒の二つの世代を対象に分析しました(分析人数は中学生1816人、高校生1589人)。同一個人を3年間追いかけて調査をしていることと、中学生と高校生に同一サンプリングと同一質問で調査をしていることが特徴です。

調査は各年の7~9月に行っていますが、部活動に加入していた比率は中1時点で93%、高1時点で84%。高3は夏には部活動を引退している生徒もおり43%に下がりますが、中3は72%が活動しています。なお、部活動の内容は、運動系、文化系には分けていません。代わりに、活動時間で分けることにしました。

部活動をしている生徒は、中高生ともに1、2年時で週に13~14時間、3年時で週に12~13時間くらいの活動時間の人が多いです。18年にスポーツ庁と文化庁が「部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定し、平日の活動時間は2時間程度、1週間に2日以上の休養日を設けることを求めたので、コロナ禍での減少を抜きにしても、現在は若干、減少傾向にあると思います。

――「部活は勉強のジャマにならない」の調査結果はどうでしたか。

部活動に熱心な生徒とそうでない生徒は、もともと性格や行動のタイプが異なる可能性があるため、もともと部活時間が長いタイプかどうかの影響を統計的に取り除いたモデルで分析しました。その結果、中学生では1週間の部活時間の増減は平日の学習時間には影響しておらず、高校生では部活時間が長くなるほど学習時間が短くなっていました。

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