部活と勉強 両立するのか

早大・中澤篤史さん「日本のような部活動は世界的に珍しい」

2021.03.01

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中村 正史
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中学生、高校生の大半が加入する日本の部活動のような学校での課外活動は、海外ではあまり例がないといわれます。なぜ、そうなったのでしょうか。部活動のメリットとデメリットは何でしょうか。なぜ日本では「文武両道」が尊ばれるのでしょうか。運動部活動に詳しい早稲田大学スポーツ科学学術院の中澤篤史准教授に聞きました。(写真は、グラウンドで練習する高校の野球部員)

中澤篤史さん

話を聞いた人

中澤篤史さん

早稲田大学スポーツ科学学術院准教授

(なかざわ・あつし)東京大学教育学部卒、同大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。一橋大学大学院社会学研究科准教授を経て、2016年から現職。専門はスポーツ社会学、身体体育学、社会福祉学。著書に『運動部活動の戦後と現在――なぜスポーツは学校教育に結び付けられるのか』など。

米国の高校部活動はシーズン制

――日本のように学校での部活動が盛んなのは、世界的にみて珍しいのでしょうか。

珍しいですね。体育の授業は海外でもありますが、学校で放課後や休日に生徒が教員の指導の下で、1年中活動するというのはありません。ここまでスクールスポーツが活発なのは日本だけです。

運動部の加入率は中学生で7割、高校生で5割にのぼります。文化系の部活動を含めると9割が加入しています。

――海外では学校での運動部活動はどうなっていますか。

米国では、中学ではあまりありませんが、高校ではアメリカンフットボールやバスケット、野球をはじめ盛んです。ただ日本と違うのは、シーズン制になっていて、季節ごとに入部と解散を繰り返すことです。例えばアメフトは花形スポーツで、8月に入部希望者が集まって練習し、9月、10月に試合があり、終わると解散します。冬はバスケットをしたり、春になると野球をしたりします。3~4カ月間のシーズン制になっていて、1年中同じスポーツをすることはありません。

また、技術的にうまい生徒しか入れません。トライアウトの選抜制度があり、試合に勝つための仕組みができています。

英国は19世紀から部活動があり、世界で最も古い歴史がありますが、1980年代のサッチャー政権時の新自由主義政策で教育予算が削減され、だんだん衰退していきました。今は公立の中高では盛んではありません。逆に私立はスポーツを売り物にして立派な施設を整えている学校があり、私立と公立で格差が開いています。

アジアを見ると、中国や韓国はスポーツが学校で行われることが多いですが、それは民間や地域の受け皿が発達していないためです。それにスポーツのエリートを育ててオリンピックを目指すという目的があり、だれでも気軽に参加できるものではありません。

スポーツを教育に結び付けて文武両道を目指すというのは、日本だけです。

――米国のエリート学生は、学業だけでなくスポーツもできて、芸術も理解しているというイメージがありますが。

そういう面はあります。米国に文武両道という言葉はありませんが、「scholar-athlete」と言って、勉強だけでなくスポーツも得意とする学生がいます。ハーバード、イェール、スタンフォードなどトップクラスの大学でもスポーツが盛んで、人間の総合的な魅力として評価されますね。

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