大学入学共通テスト 傾向と対策

適性検査でおなじみ「太郎と花子」が大学入試にも登場 「公立中高一貫校が有利」説は本当か

2021.03.07

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市川 裕一
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柿崎明子
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思考力、判断力、表現力を問う大学入試改革の目玉として、初の本番を迎えた大学入学共通テスト。記述式問題などの導入が見送られたこともあり、実際には長い問題文の読解力や情報処理力が問われる出題だったとの見方がもっぱらです。試行調査の段階から公立中高一貫校の適性検査と似ていると指摘されてきましたが、実際はどうだったのでしょうか。6年前、適性検査を突破した生徒は、共通テストでも高得点を収めたのでしょうか。(本記事は、AERA3月8日号に掲載され、朝日新聞出版のニュースサイトAERA.dotと同時配信しています)

二人の会話文に解答のヒントや伏線が

まずは二つの問題を見比べていただこう。右は1月17日に行われた大学入学共通テスト(第1日程)の数学Ⅰ・A、左は2月3日実施の東京都立中高一貫校の適性検査Ⅱ(共同作成問題)である。どちらも、太郎と花子の会話文を読んだ後、設問に答えていくという形式だ。

「適性検査の会話文には解答に誘導する流れや伏線があり、それに気づけるかどうかがポイント。会話する二人の意見や立場の違いを理解できているか、コミュニケーション力を見ている面もありそうです」

そう話すのは今年、都内の公立中高一貫校に927人の合格者を送り出した学習塾enaを展開する学究社の久保杉崇史・執行役小中本部長代理だ。

2017年11月に行われた共通テストの第1回試行調査(プレテスト)では会話文がもっと長く、国語では文学作品ではなく生徒会の規約が題材になるなど、適性検査にそっくりと話題になった。それに比べると、「記述式問題が見送られ、国語の実用文が出ないなど、大学入試センター試験に近い印象」(久保杉氏)だった本番の共通テスト。それでも数学Ⅰ・Aで出題された陸上競技におけるストライドとピッチの関係や、数学Ⅱ・Bの読書時間といった題材は、かつての都立中高一貫校の適性検査の出題と似ているという。国語で二つの文章を比較し、論評・考察した「ノート」をもとに解いていく問題も、適性検査を連想させた。

両者の類似性を指摘する声は、当の公立一貫校の先生からも上がっている。朝日新聞EduAのインタビューに、都立桜修館中等教育学校進路指導主任の真柴拓哉教諭は「(共通テスト本番は)単に知識を暗記して答えるパターンではなく、初めて出てくるシチュエーションに対して情報を引き出していくという設問の形式が、適性検査に近い」と答えた(インタビューはこちら)。京都府立洛北高校進路指導部長の山了悟教諭も「突き詰めると適性検査も共通テストも、同じ力が要求されている」と話している(インタビューはこちら)。

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