学習と健康・成長

子どもも大人も考えたい 「同意」って何? 理由を聞くのではなく説明を

2021.03.04

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山下 知子
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本当は嫌なのに「うん」と言ってしまったり、無理やり「いいよ」と言わせてしまったり。そんな経験はありませんか? 互いの意思を確認し合って気持ちの良い関係を築く――そんな意味を含んだ「同意」という言葉が、いじめや性暴力の観点からも注目されています。昨年10月には、米国発の「子どもを守る言葉『同意』って何?」(集英社)が日本でも翻訳出版されました。「同意」について子どもにどう伝えたらよいのか。同書にメッセージを寄せた、性教育研究者の村瀬幸浩さん(79)にも話を聞き、「同意」の考え方を探りました。(写真:「子どもを守る言葉『同意』って何?」の表紙(右))

理解の鍵は「バウンダリー(境界線)」

「子どもを守る言葉『同意』って何?」は、米国のアーティスト、レイチェル・ブライアンさんが書きました。きっかけの一つが、7歳の娘に「学校で突然、男の子からキスをされた」と打ち明けられたこと。2016年、互いの意思を確認しあうことの大切さを説いた「同意」について伝える動画「Consent for Kids」を作って公開しました。25以上の言語に翻訳され、動画の内容をさらに詳しくした同書を昨年1月に米国で出しました。

ベースにあるのは、「自分の体のことは自分で決める」という、「からだの自己決定権」。相手が何かしようとした時に、自分の気持ちに沿って、する/しないを決めていいという考えです。

そこでポイントとなるのがバウンダリー(境界線)です。「同意する/同意をもらうって、どういうこと?」と題された3章では、人によって「大丈夫」や「嫌だ」と感じるバウンダリーが違うことを説明。力ずくで同意させても、「それはホントの同意ではない」と訴えます。相手の返事がはっきりしなかったり、だまっていたり、別の話を始めたりした時は「よく聞いてハッキリと『同意』をかくにんしよう」とし、もしはっきり分からないのであれば、それは「NOだ」と説明します。

バウンダリーを越えて嫌なことをされたら「嫌だ」と伝えていいこと、いったん「いい」とした考えを「嫌だ」に変えてもいいこと、バウンダリーを踏みにじってくる人がいても、踏みにじられた人は決して悪くないこと――なども伝えています。

バウンダリーについて説明したページ
バウンダリーについて説明したページ

同書を編集した集英社の中安礼子さんは「大人にとっても、気付きが多いはずです」と言います。日本では親や学校の言うことが絶対視され、その中で育った多くの大人は「嫌なことは『嫌だ』と言ってもよい」という文化に触れてきていません。また、「嫌よ嫌よも好きのうち」といった言葉に代表されるように、相手の同意をきちんととって行動する考えも根付いているとは言いがたい面があります。中安さんは「こうした文化の中でひどく傷ついた人、傷つけてしまった人は多くいるはずです。同意の考えが、みんなに染み渡ってくれるとうれしい」と言います。

同書は、子どもへの暴力防止プログラムを行うNPO法人CAPセンター・JAPANなどに意見を聞いて完成させました。例えば、「○○しようね」との文章では、できなかった時に子どもが自分を責めてしまうと聞き、語尾を「○○していいんだよ」という表現に変えたといいます。巻末には、性暴力やいじめなどに遭った時の相談窓口も収録しています。

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