Think Gender

私立中の共学校入試にモヤッ! 男女別の募集と合格最低点は「差別」か?

2021.03.08

author
葉山 梢
author
山下 知子
Main Image

共学の私立中学校の入試では、男女別に募集したり、合格最低点が男女で違っていたりする例があります。その多くは女子に不利な状況です。ジェンダーの視点でみれば、本人が決められない性別という属性で不利に扱われることは不平等そのもの。一方で、「性別に関係なく合格者を決めると女子が多数を占め、共学校として学校を運営するのが難しくなる」という学校関係者の声もあります。男女がともに学ぶ場をどう作るか、学校も色々と模索しているようです。3月8日は国際女性デー。中学入試における性別の問題を考えてみました。(写真は、共学化を伝える私立中のパンフレット)

私立中の共学校入試にモヤッ! 男女別の募集と合格最低点は「差別」か?

早慶の募集は男子が多い 関学、高槻も

東京にある共学の私立中学校は「合計人数」もしくは「男女同数」で募集するところがほとんどですが、女子の募集が大幅に少ない学校があります。

「男女比には正直、納得がいっていません」

今年、慶応義塾中等部(東京都港区)を受けた長女がいる母親はそう言います。同部の募集人数は男子約140人、女子約50人。合格最低点は非公表ですが、四谷大塚の合格可能性80%偏差値では男子64、女子70と大きな開きがあります。この母親は「同じ学校に入るために、女子の方がより多くの努力を求められるのは、やはり釈然としません」と言います。学校側へ取材を申し込みましたが、「(回答できない)理由も含め、回答できません」として応じてもらえませんでした。

2018年2月の慶応義塾中等部の入学試験会場=東京都港区、横川結香撮影
2018年2月の慶応義塾中等部の入学試験会場=東京都港区、横川結香撮影

早稲田実業学校中等部(東京都国分寺市)は、都内にある早稲田大学付属・系属の中学3校の中で唯一、女子が受験できます。募集は男子85人に対し女子40人。2002年度に男子校から共学化した時から変わっていません。

2020年度入試(2020年2月)の合格最低点は、女子の方が20点高い結果でした。佐々木慎一教頭は「この男女比で行事や施設の面で問題なくやってきたが、学内でも問題視する声はある。今後、検討する余地はあると考えています」と話しています。

2012年度に共学化した関西学院中学部(兵庫県西宮市)。複数回実施する入試のうち1回目の募集人数は、男子約65人、女子約35人となっています。当初は、男子校で培ってきた教学のノウハウをいかす狙いとともに、女性教員が少なかったことなどから男女比を「5:3」としたそうです。文堂裕治・副部長は「共学になってもうすぐ10年。共学校運営のノウハウもつかんできた。男女同数であることが理想で、ゆくゆくはそうしたいと考えている」と話します。

泥んこになりながら伝統行事「メチャビー」を楽しむ関西学院中学部の女子生徒たち=2012年、兵庫県三田市、伊藤武撮影
泥んこになりながら伝統行事「メチャビー」を楽しむ関西学院中学部の女子生徒たち=2012年、兵庫県三田市、伊藤武撮影

高槻中学校(大阪府高槻市)は2017年度に共学化し、現在は募集人数270人のうち男子180人、女子90人としています。工藤剛校長は「長年、男子の教育のみを行ってきた学校。女子生徒の教育環境を段階的に整備していくことを考え、2:1から始めようとなった。男女比は今後の検討課題だと思っています」と言います。

一方、別の学校は「女子の方が活発なので、女子を少なくすることで男女の力関係、バランスがちょうど良くなる。女子が半数を超えると施設面でも困る」という理由を挙げました。別の共学校の校長は「男女同数としてしまうと、男子が活躍できる場が少なくなってしまう。共学校の男女比は2:1が理想というのは教育現場でよく聞く」と打ち明けます。

私立中の共学校入試にモヤッ! 男女別の募集と合格最低点は「差別」か?

明治大明治は、男女比を「5:5」に

男女で差があった募集人数を「5:5」に変えた学校もあります。

明治大明治中学校(東京都調布市)は、2008年度に女子の受け入れを始めた際、男子校だった歴史を踏まえ、男女比が「6:4」になるようにしていましたが、2020年度入試から「5:5」としました。

原田裕貴・広報主任は「本来は男女差を設けず、成績順に合格者を決定していくことが入試における平等の理念に沿うものと認識していますが、建学時の男子校としての設立理念や歴史的経緯を踏まえ、また施設や体育の授業運営を考えて、当面は男女同数の募集にするという決定をしました。もちろん,男女の受験者数や成績、手続き率の相違が毎年発生しますので、毎年、必ずしも『同数』にはならないのが現実ですが、時代の要請に沿い,対応していくよう考えています」。ただ、男女比が「5:5」になっても倍率には差があり、2021年度第1回入試では、男子の実質倍率が2・56倍だったのに対し、女子は3・46倍でした。

明治大明治中学高校
第98回全国高校野球東・西東京大会で、明治大明治の応援席で声援を送る生徒たち=2016年、ダイワハウス八王子、辻健治撮影

新着記事