小学校での英語教育

「教育界のノーベル賞」グローバル・ティーチャー賞とは トップ10選出の正頭さんに聞く

2021.03.10

author
佐々木 正孝
Main Image

教育分野のノーベル賞と言われる「グローバル・ティーチャー賞」。2020年はインドの小学校教員ランジット・ディサレ氏が世界140カ国、1万を超える応募者の中から選ばれました。そんなグローバルな表彰に、日本の教師2名がトップ10ファイナリストに残った実績があります。グローバル・ティーチャーとはどんな賞で、ファイナリストに残った教師はどんな授業をしているのか。2019年グローバル・ティーチャー賞のトップ10に選出された正頭英和先生に聞きました。

Hidekazu_Shoto

話を聞いた人

正頭 英和さん

立命館小学校 ICT教育部長/英語科

(しょうとう・ひでかず)1983年大阪府生まれ。関西外国語大学外国語学部卒業。関西大学大学院修了(外国語教育学修士)。京都市公立中学校、立命館中学校・高等学校を経て2011年より現職。2019年、日本人の小学校教員として初めて「Global Teacher Prize(グローバル・ティーチャー賞)」トップ10に選出。著書に『世界トップティーチャーが教える 子どもの未来が変わる英語の教科書』(講談社)がある。

「グローバル・ティーチャー賞」授賞式で感じた 日本のICT教育の遅れと、教員の質の高さ

――そもそも、グローバル・ティーチャー賞とはどういう賞なのでしょうか?

イギリスの国際教育機関「バーキー財団」が2015年に設立した国際的な賞で、教科の専門性や、教師個人の能力を評価するのではなく、さまざまな環境下で実践できる優れた教育活動を表彰します。エントリーから審査によってトップ50を選出後、さらにトップ10まで絞り込まれ、最終的に最優秀賞を受賞する優れた教師1名を選びます。

僕がトップ10に選ばれた2019年は世界約150カ国、約3万人のエントリーから選出され、アラブ首長国連邦のドバイで最優秀賞が発表されました。授賞式の司会者を務めたのはハリウッドスターのヒュー・ジャックマン氏。パネルディスカッションや模擬授業が行われたほか、授賞式そのものが一大イベントとして盛り上がりました。

――参加国もさまざまで、いろんな国の教師にスポットライトが当たるんですね。

日本からは、2016年のトップ10に工学院大学附属中学校・高等学校の高橋一也先生が、2018年のトップ50に滋賀県立米原高等学校の堀尾美央先生が選出されていて、僕は小学校教諭としては初めてのトップ10選出になりました。

日本では賞の知名度が低いので想像しにくいと思いますが、トップ10の受賞者には現地でSPがつきます。会場に登場するだけで騒がれるし、サインも求められる。一瞬だけアイドルになったような気分でした(笑)。

表彰式に集まった各国メディアの熱気を体感したり、世界各国の先生の模擬授業に接したりして感じたのは、日本のICT教育の遅れ、そして、日本の教師のレベルの高さです。

――世界各国と日本のギャップを痛感しつつも、日本の教育は捨てたものじゃない、と。

もともとグローバル・ティーチャー賞に応募したのは、勤務している立命館小学校が「Microsoft Showcase Schools」の認定を受け、マイクロソフトと新しい教育のかたちを模索し始めたことがきっかけでした。

これはマイクロソフトが認定する教育ICT先進校で、本校が認定を受けた2015年には、全世界から150校ほど選ばれましたが、日本ではわずか6校。ちなみに、2021年には足立学園と立命館小学校の2校しか認定されていません。こうした世界のICT教育の現状を知るにつれ、「ちょっと……、日本ヤバいんじゃない?」という思いが湧いてきたのは確かです。

一方、表彰式でさまざまな模擬授業を見ると、日本の教師の授業のレベルは世界的にも決して引けを取らないものだ、と感じました。この名誉ある賞が日本でも広がり、エントリーする教師が増えたら、グローバルで評価される機会も増えていくでしょう。そうしたら日本の教師もさらに自信を持って教育に臨めるはず。

ただ、グローバル・ティーチャー賞は英語での応募が必須条件で、不得意な教師にはスポットが当たりにくくなってしまいます。それを解消するために、日本版のグローバル・ティーチャー賞を作ろうと「グローバル・ティーチャー・プライズ・ジャパン」設立にも携わっています。

新着記事