部活と勉強 両立するのか

早大・濱中淳子さん「進学校と中堅校で異なる部活動と学習時間の関係」

2021.03.09

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中村 正史
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部活動は学習時間にどれくらい影響があるのでしょうか。部活動と学習は両立できるのでしょうか。それは学校によって違うのでしょうか。部活動の引退後に勉強に集中すれば大学受験に間に合うというのは本当でしょうか。中高生や保護者の関心が高い部活動と学習との関係について、首都圏の高校で調査・分析した早稲田大学の濱中淳子教授に聞きました。(写真は、練習に励むフェンシング部の高校生たち)

濱中淳子

話を聞いた人

濱中淳子さん

早稲田大学教育・総合科学学術院教授

(はまなか・じゅんこ)東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。専門は、教育社会学、高等教育論。リクルートワークス研究所研究員、独立行政法人大学入試センター助教、准教授、教授、東京大学高大接続研究開発センター教授を経て、2019年から現職。著書に『検証・学歴の効用』『「超」進学校 開成・灘の卒業生――その教育は仕事に活きるか』など。

進学校の方が中堅校より部活に熱心

――『大学入試改革は高校生の学習行動を変えるか』(2019年、ミネルヴァ書房)の中で、部活動と学習について分析しています。部活動に関心を持ったのはなぜですか。

大学入試センター研究開発部にいた時に、高校生の学習行動を明らかにすることを目的に、首都圏の高校10校に通う生徒を対象にした調査を行いました。アンケート調査と並行してインタビュー調査を行い、進路指導や進路の展望などについて聞いたのですが、高校生から出てくるのは部活動のことばかりで、「部活があるから家で勉強するのは無理」といった話が次々に出てきました。

私たち研究者が学習のことを考える際にいかに部活動のことを見ていなかったか、部活動と学習時間の関係を見る必要があると、インタビューを通して生徒から教えてもらいました。それで途中から部活動に関する質問項目を入れました。部活動と学習時間は生徒の生活時間の問題なので、二つをセットで考える必要があります。

教育社会学では、これまで教育格差や逸脱など、教育が抱える社会的病理を取り上げることが多く、学習そのものは大きなテーマではありませんでした。部活動も行きすぎた指導や教員の働き方といった文脈で取り上げられてきたので、部活動と学習時間についての研究はほとんどありません。一連の高大接続改革の論議の中でも、部活動についてはほとんど触れられていません。

――調査はどのように行ったのですか。

埼玉県の進学校2校と中堅校3校、千葉県の進学校2校と中堅校3校の計10校に協力してもらいました。いずれも公立高校で、中堅校は生徒の半分近くが指定校推薦(学校推薦型選抜)で進学。上位1割がMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)を希望しているという話も聞きました。

同じ生徒を1年生の1学期から3年生の2学期まで追跡調査しました。調査は2012年度から14年度まで行い、15年度に確定した進路情報を収集しました。5回の調査を通して中堅校は2000人強、進学校は1300人台半ばの生徒の回答を得ました。

――調査結果を見ると、進学校と中堅校で結果が違っているのが印象的です。

進学校の方が部活動に熱心という結果になっています。部活動に参加しているのは、1年3学期、2年2学期で中堅校では8割超、進学校では9割超です。3年1学期になると、引退時期を迎え、いずれも4割に低下しています。部活に参加した経験がない生徒は、中堅校で7.7%、進学校では1.7%しかいません。

活動日数は「週7日」「週6日」が6割を超えますが、部活動がある日の帰宅時間は、中堅校では夜9時以降が17%、8時ごろが41%に対して、進学校は9時以降が28%、8時ごろが35%になっています。

――進学校の方が部活動に熱心なのは、なぜでしょうか。

進学校の生徒の帰宅時間が遅いのは、一つには遠くから通う生徒がいることが考えられます。塾に通っているのではないかという見方がありますが、通塾する生徒は必ずしも多くはありませんでした。進学校は「文武両道」を目指す学校も多く、部活動と勉強を両立させようとする生徒が多いからだと思います。

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