部活と勉強 両立するのか

教育社会学者・内田良さん「中学の部活動の活動時間は減少傾向」

2021.03.12

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中村 正史
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『ブラック部活動』の著書がある名古屋大学大学院の内田良・准教授は、部活動での事故や、教員の長時間労働など、部活動がかかえる様々な問題を指摘してきました。部活動の現状や、部活動はどうあるべきかなどについて、内田准教授に聞きました。(写真は、サッカー部の練習に臨む中学生たち)

内田 良

話を聞いた人

内田 良さん

名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授

(うちだ・りょう)学校リスク(スポーツ事故、組み体操事故、教員の部活動負担・長時間労働など)の事例やデータを収集し、研究している。専門は教育社会学。博士(教育学)。著書に『ブラック部活動』『教育という病』など。

47都道府県すべてで活動時間が減少

――中学校の部活動の活動時間は減少傾向にあるようですね。

スポーツ庁が毎年行っている「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」から、運動部の活動時間数に関する回答部分を抽出して集計していますが、2018年度から19年度にかけて公立校で週1.6時間減り、13.6時間になりました。47都道府県のすべてで活動時間が減少し、いずれも16年度以降で最少になっています。16年度から連続して時間数が全国最多だった千葉県は3時間超減って15.44時間になり、4位に順位を下げました。3時間以上減ったのは、愛媛県と佐賀県も同様です。

これは18年3月にスポーツ庁が出したガイドラインの影響が大きいです。1週間に2日以上の休養日(平日に1日以上、土日に1日以上)を設けること、1日の活動時間は長くても平日が2時間程度、土日は3時間程度とするよう明記しました。

運動部の活動時間に関する質問がこの調査に加えられたのは16年度からですが、部活動の様々な問題について議論が始まったのがこの頃で、17年度から18年度にかけても活動時間は減っています。20年度は新型コロナウイルスの影響で、部活動は大幅に縮小されました。スポーツ庁の調査自体、行われていないようです。

教育社会学者・内田良さん「部活動の活動時間は減少傾向」

――内田さんは部活動の総量規制を求めてきたので、歓迎すべきことですね。

活動時間数が減っていること自体はいい傾向だと思います。ただ、後で言いますが、懸念していることもあります。

――公立と国立、私立の中学の間で、下のグラフのように活動時間に差があるのはなぜでしょうか。

正確なことはわかりませんが、推測するとすれば、私立は進学校から部活動中心の学校まで様々なため、国立は授業や学習活動中心のため、公立は軒並み部活動が過熱しているからだと思います。

――部活動を論じる時、運動部に焦点が当たりますが、文化部でも吹奏楽部は運動部並みです。

その通りで、文化部の中で吹奏楽部は突出して部員数も多くて、活動時間が長く、かなり過熱しています。部活動については、以前から何度も過熱ぶりが議論になってきましたが、対象はいつも運動部で、文化部は議論からこぼれ落ちています。吹奏楽部については関心があり、個別に情報を聞いていました。その点では、スポーツ庁のガイドラインが18年3月に策定された後、文化庁が文化部について同様のガイドラインを同年12月に策定したのは画期的だったと思います。

教育社会学者・内田良さん「部活動の活動時間は減少傾向」

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