部活と勉強 両立するのか

教育社会学者・内田良さん「中学の部活動の活動時間は減少傾向」

2021.03.12

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中村 正史
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『ブラック部活動』の著書がある名古屋大学大学院の内田良・准教授は、部活動での事故や、教員の長時間労働など、部活動がかかえる様々な問題を指摘してきました。部活動の現状や、部活動はどうあるべきかなどについて、内田准教授に聞きました。(写真は、サッカー部の練習に臨む中学生たち)

部活動の持続可能性を高めなければ

――部活動がこれほど盛んなのは、なぜでしょうか。

教師たちの話を聞くと、部活動を通して生徒たちのチームワークを育てる、仲間意識を強める、上下関係を築くことができる、という思いが強いです。つまり、教育的意義が大きいという気持ちが、そこにブレーキをかけることを難しくしています。

――内田さんは部活動を否定しているわけではないのですね。

そうです。全面否定しているのではなく、部活動のあり方を変えて、その持続可能性を高めていかなければいけないと思っています。

部活動がこれだけ盛り上がるのは、楽しいからだと思います。いいものはいいものとしてエッセンスを残し、負担が大きすぎて部活動が嫌になる生徒や教員の弊害は取り除いて、楽しんでやっていきましょうというのが基本的なスタンスです。そのためにブレーキをかける仕組みを作ろうとしていて、活動時間の総量規制と全国大会への参加の抑制を提言してきました。

――日本のような部活動は世界的にも珍しいと、部活動の歴史に詳しい早稲田大学の中澤篤史准教授が言っています。

放課後のスポーツ活動は、例えばドイツでは地域スポーツとして行われていたりしますが、日本では学校の管理下で行われ、ときにそれが内申書にも記載されたりと、学校の教育活動として根付いています。文部科学省の学習指導要領では、部活動は教育課程外の活動で、「自主的、自発的な参加により行われる」と書かれているにもかかわらず、生徒の進路を左右しかねないのです。

自主的と言っても学校が管理する限り、強制力がはたらきます。朝練がいい例で、自主練習といいながら、大半が参加します。趣味なら学校から切り離して行われるべきなのに、希望しない生徒や教員まで巻き込まれ、強制されているのが実態です。

――部活動に対しては、教師の中でも立場が分かれ、保護者の中にも部活動を積極的に推進したい人もいます。

部活動については、生徒も教師も保護者も両極です。部活動がしんどい人もいれば、メチャクチャ楽しい人もいます。楽しい人は楽しいことが維持できて、しんどい人はしんどい思いをしなくてすむような仕組みを作るべきです。最終的に部活動は学校から切り離す必要があると思います。

――日本の部活動はスポーツや文化活動の機会を安価で平等に提供することから、「世界に誇る仕組み」と評価している研究者もいます。

サービスの受け手である生徒が低コストで活動できるという意味では、世界に誇れることかもしれません。しかし、教員はただ働きでやっており、世界にまったく誇れない仕組みです。部活動への批判が高まった16年以降、部活動の論じ方が決定的に変わり、教員の負担に焦点が当てられるようになりました。教員の負担を抜きにしたら、空虚な議論になると思います。また大会ではユニフォームなどを指定されたり、遠征時に費用が発生したりするなど、部費負担もけっして小さくありません。

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