部活と勉強 両立するのか

県立湘南高校・稲垣一郎校長「部活動の是非は一般論では論じられない」

2021.03.17

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中村 正史
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早稲田大学の濱中淳子教授の調査によれば、部活動と学習時間の関係は、進学校と中堅校で異なるといいます(記事はこちら)。進学実績の高い公立伝統校の中には「文武両道」を掲げた高校が少なくありません。その一つ、2021年度に100周年を迎える神奈川県内有数の進学校、湘南高校の稲垣一郎校長に聞きました。(写真は同校の校舎)

稲垣一郎さん

話を聞いた人

稲垣一郎さん

神奈川県立湘南高校校長

(いながき・いちろう)早稲田大学国語国文学専攻科修了。1984年、神奈川県立高校の国語科教諭になり、特別支援学校、県立荏田高校校長、県ICT推進担当課長などを経て、2016年から現職。

部活加入率130%、3年夏秋まで活動

――湘南高校は「文武両道」を掲げていますが、いつごろからですか。

湘南高校は大正10(1921)年に神奈川県で6番目の旧制中学校として創立され、2021年度で100周年を迎えます。初代校長を27年間務めた赤木愛太郎先生が「日本一の中学校をつくろう」と目標を掲げ、「智・徳・体」の調和的発達のうち体育を特に配慮しました。この考え方が戦後の新制高校になっても残り、現在も続いています。

――部活動はどんな様子ですか。

複数の部活動に入っている生徒もいて、加入率は130%になります。野球部やサッカー部など運動部の生徒が天文部や園芸部などを兼部したり、文化部の生徒だと演劇部と生物研究部を兼部したりしています。

運動部だとインターハイがある3年夏まで活動し、野球部は7月、ラグビー部は10月くらいまで大会があります。合唱部は全国大会に行くことが多く、10月くらいまで活動しています。

高校野球は昨年は新型コロナウイルスで大会が中止になりましたが、一昨年は横浜スタジアムでの5回戦まで進み、東海大相模に敗れました。ラグビー部は神奈川県内には私立の強豪校がありますが、公立高校の中では最強チームの一つです。フェンシング部も全国大会に参加するレベルです。

――学校行事も盛んなようですね。

3年の9月中旬に行われる体育祭が活動の終結点です。1年前の2年秋から準備を始め、ベニヤ板21枚分の巨大な看板(ボード)や大道具、凝った衣装をつくり、仮装を行うのがそのメインです。部活動は3年の最後まで全うしますし、外の人からは「3年生のそんな時期までこんな活動をしているのですか」と言われます。

――進学実績を見ると、毎年、東大に20人前後、早稲田と慶応に合わせて250~300人の合格者を出しています。生徒はどんな生活をしているのですか。

朝練をして授業(各70分)を受け、放課後に部活動をします。授業、部活動、学校行事を取り合わせながら、3年間で一人一人違った、生徒それぞれのいいものを自らつくり上げていきます。見ていて、よくパンクしないなと思うほどですが、生徒たちはタイムマネジメントが上手で、スケジュールが詰まった3年間をつくっていくことを苦にしていません。

卒業生が学校を訪ねてくることがありますが、「大学でしなければいけないことがいろいろあっても、湘南高校の3年間に比べたら楽です」と言います。

9月中旬に行われる体育祭は、1年前から準備を進め、巨大な看板や大道具、衣装などが用意される=同校提供
9月中旬に行われる体育祭は、1年前から準備を進め、巨大な看板や大道具、衣装などが用意される=同校提供
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