大学入学共通テスト 傾向と対策

特例追試・国語、過去問と同じ文章二つ 予備校講師ら「公平性に疑念」

2021.03.23

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山下 知子
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上野 創
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「信じられない」「衝撃」。2月に行われた大学入学共通テストの特例追試。その国語の問題で、過去の大学入試センター試験で出題されたものと同じ素材文が二つ使われていたことがわかり、予備校講師や高校教員らから驚きの声が上がっています。作成した大学入試センターは、素材文の再利用について「2008年に、それもあり得るという方針を公表した」と主張しますが、講師らは「初見でない生徒はいる。テストの公平性の点で問題だ」と指摘しています。(写真は、特例追試の国語の問題冊子の表紙)

95年現代文、93年古文と同一 センターは「問題ない」

特例追試は、新型コロナウイルスに伴う配慮として設定されました。今年の大学入学共通テストの日程は、①1月16、17日(第1日程)のほか、①の追試も兼ねる②1月30、31日(第2日程)、③2月13、14日(特例追試)の3通り。昨春の休校で授業が遅れるなどして②に出願しながら、病気などで受けられなかった高校3年生が、③の特例追試を受けました。センターによると、受験生は1人でした。

問題となっているのは、特例追試の国語の四つある大問のうち、一つ目の評論文と、三つ目の古文。出典は、評論文は饗庭孝男「想像力の考古学」、古文は「今鏡」で蹴鞠の名手として知られた藤原成通に関する話の部分です。使われた文章(素材文)が、それぞれ1995年のセンター試験(本試験)と93年のセンター試験(同)と使用範囲が全く同じで、一部の傍線部も同じ箇所でした。

センターによると、今回の特例追試は、2014年に「緊急対応用」として作られた問題を使いました。大地震による輸送中の事故など、何かの理由で問題が漏れてしまった時のために準備しておくものだそうです。センターは昨年6月の時点で、共通テストの第1、第2日程用の問題のほかは、この緊急対応用の問題しか活用できるものがないことを文科省に伝えたそうです。文科省側は、第2日程の出願者が何かの事情で当日に受けられない事態を想定し、受験機会の確保のため、それを使って特例追試を行うことを決めたという経緯がありました。

素材文の再利用に問題はないのでしょうか? センターは08年、「過去のセンター試験や大学の個別学力試験で使用された問題の素材文、教科書に載っている文章であっても、その後の試験問題の素材文として使用することはありうる」との方針を出しています。今回もその方針のもとで作られた問題で、「公平性に問題はない」としています。担当者は「特定の予備校のテキストに載っているとしてもたまたま。素材文は重複することがあるが、設問が重複することがあるとは書いておらず、現実に今回も設問は違うものになっていた」と話し、問題点はないと主張します。

センターによると、今回とは別に、これまでも1度、過去に使った素材文を再利用したことがあるといいます。00年の国語Ⅰの追試験の第2問(小説)は、83年共通1次試験の国語Ⅰの追試験と素材文が同じだったそうです。

特例追試の問題は、著作権処理が終わっていないため、センターのホームページには載っていません。報道機関と希望者には公開されていますが、問題を紙面などで報じた社はほとんどなく、多くの人が特例追試の内容に接することがない状況でした。

過去に出題した素材文や教科書掲載の文章を使うことがあると表明した、2008年8月の大学入試センターの発表文
過去に出題した素材文や教科書掲載の文章を使うことがあると表明した、2008年8月の大学入試センターの発表文

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