いまこそ、医学部

医科大と連携、高校で医師マインドを育てる 高槻、川崎医科大付属

2021.03.26

author
庄村 敦子
author
山下 知子
Main Image

医科大を持つ学校法人が運営する高校では、大学と連携したきめ細かな教育が行われています。高槻中学・高校(大阪府高槻市)と川崎医科大付属高校(岡山県倉敷市)では、第一線の医師に話を聞いたり、最先端の研究に触れたりする様々なプログラムを展開し、医師として働くマインドを育んでいます。(生徒の学年は2021年3月現在。写真は、2001年に全国に先駆けて運用が始まった川崎医科大付属病院のドクターヘリを見学する同大付属高校の生徒たち=同校提供)

「使命感を持って医学部へ」 高槻中学・高校

「基礎医学講座は、医師という仕事を志望するきっかけの一つになりました」
今春、福井大医学部への進学が決まった、高槻高3年の久保大成さん(18)はそう話す。

基礎医学講座は年8回、金曜の放課後に高校1、2年の希望者を対象に開かれる。開講場所は、高校から歩いて7、8分ほどの大阪医科大。2019年度は「事実と科学:修羅の法廷」(法医学教室)や「遺伝子修復と病気」(生化学教室)といった講座が並んだ。久保さんは、100年前に世界的に流行したスペイン風邪やSARSなど、感染症に関する講義が印象に残っているという。「コロナ禍になり、まさにあの時の話だと思いました」

授業時間は90分で、その都度報告書を作り、6回以上の出席で大阪医大の学長名の修了証が贈られる。高槻中学・高校として、学校推薦で医学部に進学する生徒にはこの修了証を条件としているといい、工藤剛校長は「成績がいいから医学部、ではない。修養を積み、使命感を持って医学部へ進み、医師の道を歩んでほしい」と話す。

中3を対象に開かれる冬期医学部実習で、手術室を見学する生徒たち=2019年12月、大阪府高槻市、高槻中学・高校提供
中3を対象に開かれる冬期医学部実習で、手術室を見学する生徒たち=2019年12月、大阪府高槻市、高槻中学・高校提供

縫合も聴診も体験 高校では基礎医学系の研究室で実習も

高槻中学・高校を運営する学校法人は14年度、大阪医科大の学校法人と合併した。さらに学校法人大阪薬科大学と法人合併し、現在は学校法人大阪医科薬科大学となっている。

同校は、法人合併をした14年前後から、大学と連携した様々な取り組みを始めた。久保さんが受講した「基礎医学講座」もその一つ。ほかに「冬期医学部実習」(中3)、「高大接続課題実習」(高1、2)、「最先端医学教室」(中2)、「大阪薬科大サマーサイエンスプログラム」(中1~高2)、「基礎薬学講座」(中2~高2)……と、多彩な講座が並ぶ。いずれも受講費などはかからない。

冬期医学部実習では、手術の見学や、縫合や聴診などの「手技」体験もある。生徒からは「聴診器の圧が大きかった。つけ続けると絶対耳が痛くなると思った」といった感想が寄せられた。高大接続課題実習は、大阪医科大の基礎医学系の四つの研究室で3時間の実習を受ける。マウスの解剖や、微生物を培養してのグラム染色、検査キットを使って細菌を同定する実験など、ハイレベルな実習が行われている。前田秀樹教頭は「医学の一端を学べる濃密なプログラムは、本気で医師を目指すかの指針にもなっています。大学受験の先を垣間見ることで、子どもたちの無限の可能性を広げてあげたいと考えている」と言う。

中3を対象に開かれる冬期医学部実習=2018年12月、大阪府高槻市、高槻中学・高校提供
中3を対象に開かれる冬期医学部実習=2018年12月、大阪府高槻市、高槻中学・高校提供

こうした取り組みが評価され、中学入試での志願者数はこの10年、右肩上がりで増えている。同校から大阪医科大への内部進学制度はまだないが、20年度入試では大阪医科大への進学者10人を含む35人が医学部へ進学した。

前出の久保さんは、中高時代をこう振り返る。「ぼんやりと医師になりたいと思っていた夢が、中高時代で確固たるものになっていった。医学部へ行くには高い学力が必要だが、競い合える仲間がいたのも良かった。将来は、総合診療医になって地域医療に貢献したい」

高槻中学・高校の図書館=大阪府高槻市、同校提供
高槻中学・高校の図書館=大阪府高槻市、同校提供

新着記事