いまこそ、医学部

「ブラック・ジャックセミナー」に医学部研究会、マンツーマン指導 札幌南高の進学支援

2021.03.30

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柿崎明子
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医師不足に悩む地方では、地域医療の担い手を育てるため道県教委が高校生の医学部進学をサポートする動きが広がっています。北海道札幌南高校では、教員による手厚い支援で地元の国公立大学を中心に合格者を出しています。(生徒の学年は2021年3月現在。写真は、年2回開かれる医学部研究会=北海道札幌南高校提供)

地元医大とも連携して生徒を後押し

札幌南高は北海道屈指の公立進学校だ。しかし、校内にガリ勉の雰囲気はない。制服がないため、生徒はそれぞれのオシャレを楽しみ、高校生活を満喫している様子だ。札幌いしやま病院で、肛門外科の医師として勤務する河野由紀子さん(45)は「『よく学び、よく遊べ』がモットー。厳しい校則もほとんどなく、生徒の自主性を大切にしていましたね」と振り返る。

年々進学実績が伸長しており、2020年度入試では国公立大の合格者が294人と過去最多に。医学部も道内を中心に国公立に51人、私立に16人の合格者を出した。進路部長の高桑知哉教諭は「医師の家庭の生徒も多く、伝統的に医学部に強い。医学部に行きたいから、と入学する生徒もいます」。

北海道札幌南高での授業の様子=2021年2月16日、柿崎明子撮影
北海道札幌南高での授業の様子=2021年2月16日、柿崎明子撮影

広大な北海道は地方を中心に医師が不足しており、道や大学が一体となって高校生の医学部進学を支援している。

札幌南高で毎年2回開かれる「医学部研究会」は、札幌医科大や旭川医科大の教員が医学部について講話。生徒だけでなく、多い時には保護者も100人ほど集まるという。同窓会の協力による六華(りっ・か)ゼミは、年10回のうち医師が2回訪れて体験談を話している。豊富な人脈を生かし、声楽家や大学教員、ビジネスパーソンなどを招いての多様な講話会なども開かれている。

1~2年生を対象にした、札幌市内の病院で開かれる「ブラック・ジャックセミナー」は、申し込みが多く抽選になる人気のイベントだ。ロボットを使用する手術など、最先端の機器を使った体験をする。他にも大学医学部の教員を招いての出前授業は、アカデミックな研究に触れる機会になっている。

道教委主催のキャンプで決意

道教育委員会が夏休みに主催する、3泊4日の「メディカル・キャンプ・セミナー」は、道内各地から医学部を目指す高校2年生が集まる。大学教授による特別講義、高校教員による数学と英語の講座、医学生との座談会など多彩な内容だ。昨年はコロナ禍のため日程を1日に短縮し、オンラインで開催した。道教委高校教育課の担当者は「医学部進学を目指す高校生を応援し、地域医療へ貢献してくれる医師を育てたい」と期待を語る。

3年生の上田峻輔さんが医師を目指したのは、祖母の病気を診てくれた、かかりつけ医の影響だった。

「在宅医療に取り組む医師で、体験談や患者さんに向かう心構えを聞き、医師になりたいと思うようになりました。さらにメディカル・キャンプ・セミナーに参加し、その思いを強くしました」

3年生になると、希望者に小論文と面接の指導を行う。小論文は国語科の教員8人が手分けして、地域枠や総合型選抜(旧AO入試)を目指す生徒をマンツーマンで指導する。

担当の教諭は「過去問を参考にして記述させ、添削したり面談で指導したりします。苦手な生徒には10回くらい指導するので、最初は全く書けなくても合格レベルまで上達します」。

面接指導は、入試に面接を課される受験生を全教員が手分けして担当する。「先生が一丸となって、一人ひとりの生徒を応援していこうというスタンスです。個人差があるので回数はそれぞれ。苦手な生徒は繰り返し指導します。集団面接は生徒を集め、その場でテーマを決めて討論させています。指導を受けた後、生徒が集まって自主的な練習もしているようです」と担当教諭。

上田さんも総合型選抜で旭川医科大に合格した。「旭川医科大に特化した面接や、小論文の添削を繰り返し指導してもらいました。患者さんの人生を豊かにするような医師になりたい」と話す。

雪の北海道札幌南高校=2021年2月16日、柿崎明子撮影
雪の北海道札幌南高校=2021年2月16日、柿崎明子撮影
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