学習と健康・成長

採用増える「ジェンダーレス制服」、誕生の背景は トンボのデザイナーに聞く

2021.04.02

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小林 香織
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制服の変化による生徒や保護者への影響

ーージェンダーレス制服を導入するにあたり、学校側の運用体制の変化も求められるのではないでしょうか。

まずは、学校、制服メーカー、販売店の3者でジェンダーレス制服の認識を統一することが重要だと考えます。

弊社では、「生徒には『ジェンダーレス制服』や『多様性への配慮』を打ち出すのではなく、防寒対策や動きやすさ、肌のコンプレックスなどの解消といった『利便性』を訴えてください」と教員の皆さんにお伝えしています。

というのも、大切なのは生徒の心理的負担にならないことだからです。大々的に「ジェンダーレス」とアピールすることで、当事者にとってありがた迷惑になったり、強制的なカミングアウト(アウティング)につながったりする懸念があるのです。

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ジッパーを採用した性差を感じさせないブルゾン風ジャケット(トンボ提供)

ーージェンダーレス制服を経験していない保護者や生徒は、どのように制服を認識し直すべきでしょう。

セクシャルマイノリティやジェンダーレス制服について、知る機会を作ることが大切だと思います。学校の対応として、新制服を導入する前にセクシャルマイノリティの当事者を招いた講演会の実施が増えており、これは良い取り組みだと思います。

インターネットを通じて実施した弊社の「ジェンダーレス制服に関する親子の意識調査」では、保護者の71.3%、子ども(中高校生)世代の57.9%が、ジェンダーレス制服を採用した学校の存在を「知っている」と回答しました。過半数を超えているとはいえ、まだ認知度が十分とはいえません。

――保護者が子どもと話す際に注意すべき点はありますか。

日本では、約11人に1人の割合でLGBTの人がいるといわれていて、これは左利きの人とほぼ同じ割合です。それぐらい身近にいる存在だと認識して、当事者を傷つけないように気を配っていくと良いのではないでしょうか。具体的には、「女の子だからスカートを履きなさい」「オネエっぽい」といった発言は、たとえ冗談半分でも相手が傷つく可能性があります。保護者は、子どもが相談しやすい環境づくりにも注力いただくと良いでしょう。

ーージェンダーレス制服の販売を通して感じた、これからの課題を教えてください。

先述のアンケートでは、保護者の81.5%、子ども(中高生)の83.1%がジェンダーレス制服に対して好意的な反応を示しました。とはいえ、ジェンダーレス制服は過渡期であり、自分の好きなファッションを選ぶ感覚で選択できる環境ではないでしょう。時間をかけて浸透する中で、当たり前に「自由に選べる」のが自然になっていくのではと思います。

弊社でも、生徒の皆さんが制服を自由に選びやすい環境づくりや製品づくりを積極的に担っていきたいと考えています。とくに、時代と共に変化するニーズを汲み取ることによって、弊社の制服が学校の明るい未来を創造する一助になれたら嬉しいですね。

制服は子どもにとって、学校への憧れの象徴であることも少なくありません。制服を着用するすべての子どもが心地よく着ることができる。それが、弊社の目指す理想の制服のあり方です。

(編集:ゆきどっぐ+ノオト)

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