わが子が伸びる習い事

「あ」の字は難しい… 人気の習いごと「書写」、スキルを上げるには

2021.04.05

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夏野 かおる
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社会がデジタル化する中で、手書きで文字を書く機会がめっきり少なくなりました。ところが、「書道」や「習字(書写)」は変わらず人気の習い事です。受験ですらもCBT(コンピュータを使った試験方式)化が予定されている現代において、書道や書写の位置づけはどう変わっていくのでしょうか。「きれいな字を書く」以外の学習効果について、専門家に伺います。

Yuko_Hibio

話を聞いた人

日比生 優子さん

株式会社公文エルアイエル ブランド推進チーム

(ひびお・ゆうこ)1997年入社。入社後約11年間にわたり、地区担当として書写教室の指導者のコンサルティングにあたる。その後は教材制作や指導者への研修を行うとともに、直営教室にて書写教室の運営、指導に携わり、子どもから大人までさまざまな年代の指導を経験。2016年よりブランド推進チームに配属、書写の価値を内外に伝える活動を行っている。

芸術志向の「書道」と日常に寄り添う「書写」

——そもそも、「書道」と「書写」にはどのような違いがあるのでしょうか。

書道と書写は、文字を書く技術を高めようとする点では共通しています。一方で技術を習得する目的は異なります。

書道では自己表現や芸術の一環として文字を書きますが、書写のねらいは「誰の目から見てもきれいな字」を正確に書くことです。しかも、それなりに速く書けたほうがいいですね。たとえばメモを取るときに、きれいに書きたいからといってゆっくりすぎては、書き取れなかったりしますから。美しく、正確に、速く書く。これが書写の目的と言えるでしょう。

目的が違えば、認められる表現の幅も変わってきます。書道では「美しい」の定義は一様でなく、ダイナミックな字を好む方もいれば、繊細な表現で魅せる方もいます。他方、書写が志向するのは他者とのコミュニケーションです。誤解なく内容を伝えるためには、一般的に見て「きれい」な字が求められるのです。

——オンライン授業など学校のICT化が進む中で、学校での書写教育(国語科の一部)はどのように変化していますか。

昨年度より全面実施されている新学習指導要領の大きなテーマの一つは「主体的・対話的で深い学び」です。国語科の一部として指導されている書写もまた、形を変えつつあります。

たとえば、これまでの学校書写では姿勢や筆記具の持ち方、点画の書き方といった技巧面に重きが置かれてきました。しかし新学習指導要領では、技術を習得するだけでなく、身につけた技術を「実際の生活に生かす」ようにと明記されています。

社会のデジタル化が進み、画面越しのコミュニケーションが主流になりつつあります。こうした生活は便利で効率的な一方で、相手を思いやったり、じっくりと文化に親しんだりする時間が失われているようにも思います。そんな中で書写は、相手を思いながら便箋を選んだり、伝統文化としての「書」に向き合ったりと、心の豊かさにつながる活動として見直されてきているのかもしれません。

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