学習と健康・成長

中学受験期に漫画はNG? 教育と漫画の専門家が語る「子どもと漫画のかかわり方」

2021.04.12

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藤堂 真衣
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中学受験に向けて「やるぞ!」と意気込んだものの、ふと子どもを見ると漫画やアニメ、ゲームに夢中……。漫画を読むのは我慢させるべきか、学習に効果のある漫画はどんなものか、一体どう付き合えばいいのか。こうした保護者の気になるポイントについて、教育評論家・石田勝紀先生と、漫画研究者・吉村和真先生に対談形式でお聞きしました。

細川貂々プロフィール

話を聞いた人

石田勝紀さん

教育評論家

(いしだ・かつのり)1968年、神奈川県生まれ。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を指導。講演会やセミナーを通して5万人以上を指導してきた経歴をもつ。2016年より教育に悩む保護者を対象にした「Mama Café(ママカフェ)」を主宰し、多数の保護者とコミュニケーションをとりながら教育にまつわるアドバイスにあたる。著書に「子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば」(集英社)など多数。

吉村和真プロフィール

話を聞いた人

吉村和真さん

京都精華大学 マンガ学部教授

(よしむら・かずま)1971年、福岡県生まれ。立命館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、京都精華大学マンガ学部教授で専務理事でもある。同大学国際マンガ研究センター長や日本マンガ学会理事などを歴任。京都国際マンガミュージアムの設立に尽力した。専攻は思想史・漫画研究。著書に「マンガの教科書」(臨川書店)など。中学3年生の息子と中学1年生の娘の父親。

子どもと漫画は切り離せない関係にある


――今、中学受験に向き合う保護者の間では漫画はどのような存在として受け止められているのでしょう?

石田勝紀さん(以下、石田):意外かもしれませんが、私が保護者の方から受ける相談の中心はゲーム、中学生になるとスマホ利用にまつわる内容が圧倒的に多く、漫画の悩みは皆無なんです。

――意外です! 昔だと「漫画なんて読んでいないで勉強しなさい」と言う大人も多かった気がしますが、今はゲームやスマホという心配ごともあるんですね。

漫画対談

吉村和真さん(以下、吉村):「紙の本」で漫画を読んでいるのだとしたら、物質として目に見えるため、不安を感じにくいのかもしれません。対して、ゲームの世界は見えにくいので不安を感じやすいのではないでしょうか。

ここでキーワードになるのは「キャラクター」だと考えています。今の子どもたちは漫画やアニメ、ゲームをあまり区別せず、「魅力的なキャラクターが活躍するコンテンツ」として浴びるように見ているんです。

――例えば、「ONE PIECE」のルフィや「ドラゴンボール」シリーズの孫悟空みたいなキャラクターですね。

吉村:そうです。例えば、日本の赤ちゃんが必ずといっていいほど「アンパンマン」や「ドラえもん」に出会うように、日本で暮らす限りキャラクターとの出会いは避けられません。その結果、いくら親が遠ざけても、人生のどこかで必然的に漫画と出会ってしまうんですよ(笑)。それなら、今回のテーマにあるような少しでも学習効果のある漫画を……と考えたくなるのも納得ですよね。

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