「主体性」を引き出すノート作り

「自主学習ノート」、うまく使えば学ぶことはワクワク 学習内容も好きなことも追究

2021.04.09

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葉山 梢
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多くの小中学校で宿題に出されている「自主学習ノート」。学校や先生によってやり方は様々です。「子どもの力を引き出す自主学習ノートの作り方」の著書がある桐朋小学校の伊垣尚人先生は、学校の学習内容だけでなく、好きなこともバランスよく学ぶノートを提案しています。

伊垣尚人さん

話を聞いた人

伊垣尚人さん

桐朋小学校教諭

いがき・なおと/1977年生まれ。東京都出身。YMCAのキャンプリーダーや不登校児童・生徒の学校復帰の支援活動などを通じて学校現場に興味を持ち、通信教育で教職の道へ。カウンセリングやファシリテーションを活かしたクラス経営により、子どもがオーナーシップを持ち、学ぶことを楽しむ授業づくりに取り組んでいる。著書に「子どもの力を引き出す自主学習ノートの作り方」(ナツメ社)など。

主体性発揮にはスキルが必要

子ども自らが学習する内容を選んで取り組む「自主学習ノート」は、昔から脈々と流れのある実践です。私が始めたのも教員になって2~3年目のころ、同じ学校の先生にレクチャーを受けたのがきっかけでした。最初は深く考えることもなく始めたのですが、続けるうちに、子どもに学習を任せるということは、教師主体だった学びの主導権を少しずつ子どもにゆだねていくことだと気づきました。

ただし、「自分で頑張って」と任せるだけでは、うまくいかない子もいます。主体性を発揮するのにもスキルが必要で、学校で練習する必要があります。そこで、私が担任している2年生のクラスでは、宿題ではなく授業の中で自主学習ノートに取り組んでいます。まず最初にやるのは、好きなこと探し。動物や食べ物、趣味など何でもいい。クモの巣マップを使い、知っていることや関連することを放射線状につなげて、広げていきます=写真。

「主体性」を引き出すノート作り

「発見→準備→自学→振り返り→共有」のサイクルを2週間で回しています。好きなことや興味のあることを「発見」し、分からないことを整理してこれから知りたいことの「準備」をする。次に、本を読んだり実際にやってみたりするのが「自学」で、良かったことやもっと知りたいことを「振り返り」、クラスメートと「共有」します。

最大のコツは、好きなこと・得意なことをテーマに選ぶことです。勉強が苦手な子でも、好きなことなら頑張れます。オタクになって、楽しさを仲間と共有するイメージです。アイドルやゲームでも否定せず、取りあえずやらせてみる。それが入り口となり、深掘りするなかで多くの本を読み、本物に触れ、見学に行く中で、興味が深まり広がっていくものです。子どもに任せきりにせず、先生がサポーターになるといいと思います。

進め方やまとめ方で、子どもに「ダメ出し」したくなることもあると思います。そこはぐっとこらえて、代わりに「本出し」するのがお勧めです。図書室には素晴らしい本がたくさんありますが、子どもたちにはなかなか届きません。興味がありそうな本を大人が選んで渡すと、ものすごく響きますよ。

もう一つ大事なのが、クラスでの共有です。隣の席の人と交換してコメントを付け合ったり、机上に置いたノートを自由に見て回ったりして、やり方を学び合います。コロナ禍の休校期間に、学校の良さを改めて考えさせられました。人とつながって学びを共有し、お互いに影響し合うことは、オンデマンド型のオンライン授業では成立しない、学校ならではの学習だと思います。

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