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東洋大・児玉俊介教授「数学必須受験者が8割を超えた経済学科の変貌」

2021.04.09

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中村 正史
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日本の大学で大きな定員を占める私立文系の多くは、入試に数学を課しません。経済学などを学ぶには数学が必要ですが、数学を課すと志願者が減るからです。そんな中で、東洋大学の経済学部経済学科は、入学者の大半が数学必須入試の受験者です。どういう経緯でそうなったのか、どんな変化があったのか、入試改革とカリキュラム改革の中心だった児玉俊介教授に聞きました。(写真は東洋大学の校舎=同大学提供)

【話を聞いた人】東洋大・児玉教授

話を聞いた人

児玉俊介さん

東洋大学経済学部経済学科教授

(こだま・しゅんすけ)一橋大学経済学部卒、同大学院経済学研究科博士課程単位修得。専門は理論経済学。経済学科のカリキュラム委員を長く務め、2004~05年および08~14年に経済学科長。

数学受験者は10年間で3%から81%に

――私大文系は数学を課さない入試が大半ですが、東洋大学の経済学科は数学必須の入試で入学する学生が増えていると聞きました。

2021年度の入学者を見ると、一般選抜で数学必須の入試方法で受験した人が81%になり、8割を超えました。16~17年度は5割を少し切っており、18年度以降は6~7割で推移していました。10年前の2011年度は3%なので、当時は一般的な私立大学の経済学部と同じくらいだったと思います。

附属校、指定校、運動部など推薦で入学する人が3割いますが、今年度から導入した自己推薦は、数学検定と英語検定の両方で準2級を基準にしているので、推薦入学を含めても数学必須受験者は学科全体でほぼ6割になります。11年度当時は2%弱でしたが、ここ3年くらいで数学受験者と非受験者の比率が5対5くらいになり、今年度は6対4になりました。

――早稲田大学の政治経済学部が今年の入試から大学入学共通テストの数学Ⅰ・Aを必須にして話題になりましたが、早稲田より先行しています。

一般入試で課しているのは、数学Ⅰ・A、数学Ⅱです。共通テスト(大学入試センター試験)利用入試では数Ⅱ・Bまで課しています。早稲田の入試改革が話題になるくらい、数学必須は珍しいのかもしれません。

――意図的に数学受験者を増やしてきたのだと思いますが、どういうやり方をしたのですか。

私立文系は英・国・地歴公民の3教科入試が一般的ですが、英・国・数の3教科入試や数学必須の4教科入試、中期日程での英・国・数の3教科入試、後期日程での英・数の2教科入試と、試行錯誤しながら入試方法を少しずつ変えてきました。19年度から、ほぼ現在の方式になりました。

私立大学は併願が多いので、合格者は競合大学と奪い合いになります。そのため競合大学の入試方式を見ると、どんな受験生がどんな入試方式でその大学に合格しているかが、ある程度まで推測できますが、最近感じるのは、競合大学も含めて多くの私立大学では、現在でも経済学部に入学するのに、数学を勉強していない学生が多数ではないかということです。自らの経験も踏まえると、数学を勉強していないと、経済学部・学科に入ってから結構、苦労します。そこで、東洋大学の経済学科では、数学が苦手な学生を前提に、どうすればいいのか教員で話し合って、試行錯誤しながら独自のカリキュラムをつくってきました。

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