部活と勉強 両立するのか

都立西高・萩原聡校長「各自が二兎を追う文武両道は、公立高校のいい面」

2021.04.15

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中村 正史
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早稲田大学の濱中淳子教授の調査によれば、部活動と学習時間の関係は、進学校と中堅校で異なるといいます(記事はこちら)。「文武二道」を掲げて進学実績も高い東京都立西高校の萩原聡校長は、以前勤務した中堅校で「二兎を追う」ことを目指し、部活動と進学の両方で成果を出した経験があります。萩原校長に部活動と学習の両立について聞きました。(写真は都立西高の校舎)

萩原聡

話を聞いた人

萩原 聡さん

東京都立西高校校長

(はぎわら・さとし)1987年、東京都立高校の数学科教員として新規採用。東京都教育庁学務部高校教育課指導主事、指導部主任指導主事、片倉高校校長、昭和高校校長、江北高校校長を経て2018年から現職。19年から全国高等学校長協会(全高長)会長を務める。

二兎を追った昭和高校での成功体験

――長年、学校現場を見てきた経験から、部活動と学習についてどう思いますか。

とても興味深いテーマです。私には印象に残る出来事があります。

2012年度から4年間、都立昭和高校(昭島市)の校長を務めた際、「二兎を追い、二兎を得る。」を教育目標の標語として掲げました。「勉強と部活動の両方を追って、成果を上げよう」とことあるごとに生徒に呼びかけ、教員にも伝えました。着任当時は、部活動はそこそこやって、進学実績は国公立大学に1人合格(首都大学東京)という学校でした。教員からは「二兎を追う者は一兎をも得ず、になりませんか」とも言われましたが、進学を意識した進路指導をしっかり行い、ちょうど校舎を建て替えた時期でもあったので、教育環境を大幅にリニューアルしました。生徒たちには「時間の管理が重要」と繰り返し説いて、「1、2年は普段の授業でしっかり基礎学力を身につけ、部活動も真剣にやる。3年になったら大学受験に備えていく。そのメリハリが大事」と伝えました。

すると、次第に大会で成果が出るようになり、全国模試の成績向上とともに、進学実績が上がってきました。2年目には、国公立大学の合格者が9人、3年目には11人になり、一橋大や東京外国語大などに広がっていきました。運動部のキャプテンや中心メンバーが国公立大学に合格するようになりました。それまではなかったことでした。

――短期間でそんなに成果が出るものですか。

中堅進学校なので、入ってくる生徒はそれほど勉強に強い興味があるわけではありません。それで進学ガイダンスをしっかり取り入れ、大学の模擬授業や大学キャンパス訪問などで進路を意識させました。多摩地区には、東京外国語大や東京学芸大、電気通信大など単科系の国立大学が多くあるので、生徒が目標を定めやすく、保護者もそういう期待を持っていました。

一度、歯車がいい方向に回り始めると、学校の雰囲気が変わっていきました。勉強も部活動もしっかりやって両方の成果を上げることが現実になり、教員たちも生徒に取り組ませれば成果が出ることを実感しました。もともと中学校でオール4前後の生徒たちなので、基礎力や指導への期待もあったのだろうと思います。

成果が出ると、地元の評価が上がっていきました。それまで地元から別の地区の高校に進む生徒も多かったのですが、生徒や保護者が昭和高校を希望するようになり、応募倍率が上がりました。学習塾の見方も変わりました。

萩原校長が昭和高校退任時に贈られた記念プレート。生徒が合格した大学名を書いた桜の形の紙が並んでいる
萩原校長が昭和高校離任時に贈られた記念プレート。生徒が合格した大学名を書いた桜の形の紙が並んでいる

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