学習と健康・成長

折り紙は「空間認識能力」を育む? 1枚の紙から生まれるクリエイティビティ

2021.04.26

author
夏野 かおる
Main Image

誰もが一度は遊んだことのある「折り紙」。リーズナブルで場所を選ばないだけでなく、空間認識能力や指先の運動にもよい影響があると言われています。ステイホーム下でぜひチャレンジしたい「折り紙」について、折り紙世界チャンピオンの加納宏徳さんと、東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授に伺いました(写真は、子どもたちに創作した折り紙を見せる加納さん)。

1枚の紙があれば始められる

『教育おりがみ』で有名な株式会社トーヨーによると、折り紙の起源は江戸時代までさかのぼるといいます。華やかな元禄文化のもとに、「折り鶴」や「舟」といった伝承折り紙の原型が作られたのだそう。

その後、製紙の中心は和紙から洋紙(上質紙)へと移り変わり、学校教材となって全国的に普及。折り紙=幼児向けの教材という認識は、おおよそこのような流れで誕生したといえます。

今では日本文化の代表例として人気を博し、人工衛星のソーラーパネルの畳み方にも知見が生かされているという折り紙。日本折紙協会と日本折紙博物館が共同主催した「第2回日本折紙コンテスト」(2005年)で、小学生以下・個人部門のグランプリを獲得した加納宏徳(かのう・ひろのり)さんは、その魅力についてこう語ります。

「折り紙のすごさは、1枚の紙で何でも作れてしまうところです。不要な紙を正方形に切るだけで始められ、やればやるほどスキルが上達する。この手軽さと奥深さは、他にない特長です。

しかも、折り紙をきっかけにさまざまなコミュニケーションが生まれることも。年配の世代から折り方を教わったり、外国の友人に喜ばれたり。口下手な子でも、隣に座って紙を折っていると、自然と会話が生まれるんです」

折り紙_1
子どもたちに折り方を教えている加納さん

『ムシキング』で昆虫好きに。磨いた技で世界チャンピオンへ

5人きょうだいの長男として生まれた加納さん。多くのきょうだいがいる環境では、どうしてもおもちゃは取り合いに。そこで、「よい暇つぶし」にと選んだのが折り紙でした。

図書館へ足を運び、「小物入れ」や「乗り物」など、テーマ別の折り紙本に次々とチャレンジしていった加納さん。「簡単なものにはすぐ飽きてしまった」と語るほど、折り紙の世界にのめり込んでいきました。

「当時は『ムシキング』(セガが開発した、トレーディングカードを使ったアーケードゲーム)が大流行していた時期。僕も多分に漏れず、カブトムシが大好きでした。でも、裕福な家庭の子がたくさんカードを買ってもらっているのに対し、僕はあまりお小遣いがなくて。それなら、自分でカブトムシを作ってしまおうと、折り紙で制作し始めたんです」

大好きな昆虫図鑑を読み込み、さまざまなカブトムシやクワガタを再現していった加納さん。次第にクラスメイトの間で人気者になり、「このクワガタを作って!」と“注文”を受けるまでになりました。

「調子に乗っていろいろと作っていたら、『ここにカドが欲しいときは、こう処理するんだな』と、折り方のテクニックが少しずつ分かってきて。『もしかしたら、自分は折り紙が得意かもしれないな』と感じ始めました」

自信を得た加納さんは、『月刊おりがみ』(日本折紙協会)に掲載されていた『日本折紙コンテスト』への出展を決めます。「ずいぶん前の話なので、記憶が定かではないのですが……」と前置きしつつも、当時をこう振り返ります。

「コンテストに向けて背中を押してくれたのは両親でした。当時は『実績を残そう』などとは考えていなくて、『テーマに沿った作品づくりって、なんだか楽しそう』くらいの感覚で出展した記憶があります。

そうして完成したのが『昆虫大図鑑』です。プロトタイプ(試作品)も含めると、総制作期間は2ヶ月くらいでしょうか。昆虫が大好きだった、当時の僕の集大成でした」

折り紙_2
標本箱をイメージし、大好きな虫を丁寧に並べた「昆虫大図鑑(2005)」(原作:桃谷好英)。「第2回日本折紙コンテスト」小学生以下の部・個人で、最高賞グランプリ獲得しました

新着記事