保護者のためのネットリテラシー講座

子どものネット配信のリスク管理 ファミリーYouTuberとIT教育専門家に聞く

2021.04.27

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有馬 ゆえ
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出演しない長女にも配慮 きょうだい2人の希望で始めたYou Tube配信

アメリカ在住の日本人5人家族が出演するYouTubeチャンネル「Kira Kira USA」。3人きょうだいのうち、次女のコトちゃん(11歳)と長男のそうまくん(7歳)の希望で2017年にチャンネルを始めました。動画の撮影、編集、運営を担当している“ママ”さんにお話を聞きました。

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「Kira Kira USA」のチャンネルサムネイル。左からそうまくん、コトちゃん(Kira Kira USA提供)

――YouTubeを始めたきっかけを教えてください。

5年ほど前、子どもたちが日常的にYouTubeを見るようになり、「やりたい!」と言いだしました。最初は無理だと話していたのですが、「YouTubeに動画を載せたら、日本にいる親戚が子どもたちの姿を観られるな」と思って、始めることにしたんです。

ただ、アメリカに住む日本人コミュニティは限られていて個人情報が特定される不安がありました。だから、夫と相談して、YouTubeをやりたいと言い出した娘と息子以外の顔と、フルネームは出さないことに決めました。当時は子どもを対象にしたチャンネルにする予定で、長女のしおんは「チャンネルの内容が自分に合わないし、恥ずかしい」と彼女自身の意思で出演しないことになっていました。

――お子さんたちは、YouTubeにどんなメリットを感じていると思いますか?

私たちの視聴者さんは、90%以上が日本に住んでいる日本人なので、街で声をかけられたりすることはありません。ただ、コメントをたくさんいただくので、子どもたちに読んであげるとすごく喜びます。否定的なコメントも、ちょっとした悪口なら面白おかしく伝えて一緒に笑っています。

子どもたちは、動画編集によって自分の動きに音や効果がついて面白くなるのがうれしいみたいですよ。動画を一緒に見て笑い合うことも日常的にあるので、娘が思春期にさしかかってからは、親子のコミュニケーションツールとしても役立っているのかもしれません。

誕生日などの動画を子どもが繰り返し観ているのを見ると、小さいときの思い出がすぐに確認できるのもいいところなのかなと感じます。

――企画、撮影などするうえで気をつけていることは何ですか?

YouTubeを生活の最重要事項にしないことです。2人の「やりたい」も「やりたくない」も尊重し、よくできた時は「すごく楽しかったね!」とモチベーションを上げるようにしています。基本的に企画を考えるのは私ですが、子どもたちがやりたいと言う企画は、視聴回数がそれほど見込めなくても、できるだけ実現させるようにしています。

無理強いはしたくないので、「もうYouTubeに出たくない」と言い出したら、それを尊重するつもりです。もちろんまずは話し合いをして、「あなたの動画で元気をもらっている人がたくさんいる」など前向きな意見を出し、継続できる努力はします。

実は、YouTubeに出演していない長女にも配慮しています。下のきょうだいだけで盛り上がっている雰囲気があり、彼女が疎外感を味わっているような時期があったんです。最近は、動画撮影時に近くにいるときは「これを教えて」などと話題を振るなど、顔は映さずとも少しだけ関わってもらうことを意識しています。

YouTuberママが考えるYouTubeを仕事にする条件

――アメリカで過ごすお子さんたちにとって、YouTubeはどんなツールですか?

日本と変わらず、アメリカの子どもたちにとってもごく身近なツールです。テレビよりもYouTubeを観ますし、YouTubeからトレンドが生まれることもあります。観て楽しむだけでなく調べ物のツールとしても親しまれていますし、学校でも教材としてよく使われています。

――アメリカでは、子どもが顔出しをして発信するのは普通なのでしょうか?

続けるかどうかは別として、やってみるハードルは日本より低いと感じます。TikTokやInstagramなどのSNSで顔を出すだけでなく、テレビに出たり広告モデルの仕事をしたりする子も多い。

チャンネル開設当時には日本の視聴者から「子どもを金儲けに使うな」といったコメントがあったのですが、アメリカでは聞くことはありません。保護者も、子どもが表に出てお金を稼ぐことに対してポジティブですね。子ども自身に経済的な感覚も身につくと考えるようです。

私も子どもたちには、動画が収入につながっていることを伝えるようにしています。具体的な金額までは明かしませんが、おいしいお寿司を食べた日に「2人ががんばってくれたからだね」と話したり、チャンネル登録者数10万人達成などの節目で欲しいものを買ってあげたり……。

――将来、お子さんが「自分のチャンネルをつくって、YouTuberになる」と言いだしたらどうしますか?

教えられることは全部教えて、「やってごらん」とは言うと思います。ただ、大学には行ってほしいし、学業をおろそかにするなら禁止します。また、社会人経験をせずに動画配信を仕事にするのも反対です。

私自身が編集などを経験してわかったのですが、YouTubeはすべての作業を一人でできるので、経験できる業務が少ないし、触れ合える人も限られている。多様性が身につかず、偏った人生になってしまうと感じます。

YouTubeは、好きなこと、得意なことを仕事にできるツール。ただ、それは社会人として最低限のスキルを身に着けたうえでないと、実現されないことなのだと思います。

(編集:ゆきどっぐ+ノオト)

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