教育改革のゆくえ

日本は思考力より基礎学力重視、ICT教育の遅れ際立つ 11カ国学習意識調査で判明

2021.04.28

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中村 正史
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小中高の教育目標だった思考力・判断力・表現力など学力の3要素が大学入試にも導入され、教科内容や学び方も変わりつつあります。日本の教育の現状は、世界的にはどう見えるのでしょうか。教育会社が行った国際比較調査から、日本の特徴を探ります。

学校への信頼が低い日本

調査を行ったのは、個別指導塾「森塾」を首都圏や新潟県で展開する東証1部上場の総合教育企業、スプリックス。大妻中学高校の成島由美校長が調査のアドバイザーを務めた。

調査したのは、米国、英国、フランス、ポーランド、中国、タイ、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、日本の11カ国。それぞれの国で、6~15歳の年齢ごとに男女各50人(各年齢100人)と、その保護者の計1000組(親子で2000人)に対して、昨年8月から9月にかけてインターネットで行った。回答したのは、計1万1000組の親子で2万2000人。調査会社のモニターを使い、所得などは極端に高い世帯と低い世帯を除外した。

スプリックス基礎学力研究所の梅田修平所長は、こう話す。

「20年以上、定期テストの点数を上げる、成績を伸ばすことを目的に指導してきました。漢字を書き間違えたり、計算ミスをしたり、基礎学力がないために失点するのはずっと変わりません。学力の3要素が注目されていますが、土台がなければ成り立ちません。基礎学力の重要性に踏み込んで、世界を俯瞰的に調査しようと思いました。さまざまな制約があり、必ずしも各国を代表しているとはいえませんが、定点観測していきたいと考えています」

特徴的な調査結果を紹介しよう。「子どもが勉強するうえで必要不可欠な要素は何か」に対する保護者の回答は、11カ国全体では「基礎学力」と「思考力」が並んで高く、「コミュニケーション力」「応用力」「実行力」「語学力」の順だが、日本は「基礎学力」が突出し、これに次ぐ「思考力」「応用力」を引き離している。中国、米国、英国、ポーランドなどは「思考力」がトップだ。

「学校の授業で十分な学力がついていると思うか」については、11カ国全体では保護者の8割が「そう思う」「ややそう思う」と答えているのに対して、日本は3割にとどまる。学校への信頼が低いのは日本の特徴で、「学校のテストの結果をとても信頼している」と答えた保護者は、大半の国で8~9割だが、日本は5割に満たず、最下位になっている。

日本は思考力より基礎学力重視、ICT教育の遅れ際立つ 11カ国学習意識調査で判明

その一方で「勉強の仕方を教える」「勉強のスケジュールを立ててあげる」など保護者の関与は他国に比べて低い。

今回の調査では、計算問題の学力調査を並行して行った。平均正答率は、日本は中国、インド、インドネシアに次いで4位。11歳以上では1~2位だが、低学年ではやや低い。

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