一色清の「このニュースって何?」

ホンダが2040年までに脱ガソリン → 塗り替わる世界の勢力図を占ってみよう

2021.04.30

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、ホンダが来年春の発売を予定する中国初の自社ブランドの電気自動車=2021年4月19日、上海市、西山明宏撮影)

地球温暖化が背景に

自動車メーカーのホンダが世界で売る自動車のすべてを2040年までに電気自動車(EV)か燃料電池車(FCV)にすると発表しました。日本メーカーとしては初めての「脱ガソリン宣言」でした。日本はガソリンエンジンの自動車づくりで大成功をおさめた国です。その成功体験があるので、脱ガソリンについては消極的な印象がありました。しかし、世界の自動車メーカーの多くはすでに脱ガソリンに向けて走り出しています。流れはでき上がっているとみていいでしょう。日本メーカーではホンダが重い腰を上げた格好です。世界の勢力図を塗り替えようと様々な思惑が渦巻く自動車新時代を日本メーカーは生き抜けるのか、次の注目はトヨタ自動車です。

まず、今の流れを整理しましょう。背景は地球温暖化です。原因物質の温室効果ガスを減らさないといけないということで、世界各国が50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにしようとしています。温室効果ガスの多くは二酸化炭素(CO2)です。実質ゼロというのは、森林が光合成で吸収するCO2の量などを差し引いた排出量をゼロ以下にするということです。ガソリン車はエンジンでガソリンを燃やすときにCO2を必ず出します。だから自動車メーカーは脱ガソリンを迫られているのです。

ではEVとFCVにすればそれだけで十分かというと、そうではありません。確かにEVとFCVは走っているときにCO2を出しません。EVは電池に電気をためて走りますし、FCVは水素で電気をつくって走るため、CO2を含む排ガスを一切出さないのです。ただ、電気や水素がつくられるときにCO2が出る可能性があります。たとえば、石炭や石油などの化石燃料で電気がつくられていれば、その段階でCO2が出ます。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの電気で充電して走っている場合だけ、完全にクリーンだといえます。また、水素は天然ガスや水を原料にしてつくられますが、天然ガスを分解するとCO2が出ます。水を再生可能エネルギーの電気で分解してつくった水素だとCO2は出ません。これをグリーン水素と呼んでいます。だから、電力業界が再生可能エネルギーの割合をもっと高めないと、EVやFCVだけでは温室効果ガスを大きく削減することはできないという課題があります。

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