一色清の「このニュースって何?」

ホンダが2040年までに脱ガソリン → 塗り替わる世界の勢力図を占ってみよう

2021.04.30

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、ホンダが来年春の発売を予定する中国初の自社ブランドの電気自動車=2021年4月19日、上海市、西山明宏撮影)

ハイブリッド車がガラパゴス化する可能性

もうひとつややこしい問題があります。日本にはハイブリッド車(HV)があることです。ガソリンエンジンと電気で動くモーターの二つの動力を積んでいる車です。ガソリン車とEVの二つの顔を持つ自動車です。このHVをEVの範疇(はんちゅう)に入れるかどうかで、日本と海外で考え方が違っています。今のところ日本は入れる、海外は入れないと考えていて、今後、新車の販売規制などでこの違いが問題になることが想定されます。

現在の脱ガソリンに向けた世界の動きをおおざっぱにいうと、欧州と中国が先頭を走っていて、少し足踏みしていたアメリカが追い上げ、日本は遅れ気味というところです。欧州は人々の環境への意識が高いことが背景にあります。政府もメーカーも環境への配慮がとても大事になっています。国としては、ノルウェーが25年にガソリン車の新車販売を禁止することを決めています。イギリス、オランダ、スウェーデンは30年に、フランスやスペインは40年に禁止します。それに伴って自動車メーカーでは、イギリスのジャガー・ランドローバーが「ジャガー」ブランドの車を25年からすべてEVにすると発表。アメリカのフォード・モーターも欧州では30年までに、スウェーデンのボルボ・カーズも30年までにすべてEVにすると発表しています。

中国には別の思惑があります。自動車産業の発展が遅かったため、ガソリン車では競争力がありません。構造がシンプルなEVなら一気に世界の先頭に立てる可能性があるとみて、とても積極的になっています。電池やEVの開発にお金をつぎ込み、ガソリン車は35年までに全廃する方針を示しています。すでに20年のEV販売台数で中国メーカーは世界のトップ10に3社も入っています。日本は1社も入っていません。

アメリカは環境政策に積極的なバイデン政権になって、動きが活発になっています。アメリカでもっとも人口の多いカリフォルニア州は35年にガソリン車の新車販売を禁止することにしています。ゼネラル・モーターズ(GM)は35年までにガソリン車の全廃を決めています。21世紀になってから立ち上がったテスラ社は今や世界で圧倒的なシェアを持つEVメーカーです。さらにアメリカでは自動運転の開発が盛んで、アップルやグーグルが自動車産業に参入するとみられています。IT企業がかかわる自動車としてはEVが想定されています。

こうみると、脱ガソリン車時代に日本は大丈夫なのか、と心配になります。世界のトップメーカーであるトヨタは環境にやさしいHVを開発して、一時代を築きました。しかし、今や世界はこの技術に関心を示していません。世界ではガソリン車として扱われています。日本の携帯電話が独自の発展を遂げ、ガラパゴスケータイ、略してガラケーと呼ばれ、世界規格であるスマートフォンに取って代わられたことを思い出します。HVにこだわりすぎると、ガラケーの道をたどる可能性があります。今後の焦点はトヨタがHVを含む脱ガソリン宣言をするかどうか、だと思います。

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