どうなる中学・高校入試

初年度に都内最多の中学受験出願者が殺到 広尾学園小石川校長が見せる「自信」

2021.05.06

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市川 理香
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2021年の東京都内の中学入試で総出願者数が3801人と最も多かったのが、広尾学園小石川中学校(東京都文京区)でした。前身の村田女子高校を共学化すると同時に中学開設、校名変更したばかりの学校が、なぜ、ここまでの人気を博したのでしょうか。順心女子中学高校を共学の進学校、広尾学園中学高校(東京都港区)として生まれ変わらせた手腕を買われ、昨年着任した松尾廣茂校長に話を聞きました。(写真は、広尾学園小石川中高の校舎を背に立つ松尾廣茂校長=岸本絢撮影)

松尾廣茂

話を聞いた人

松尾廣茂さん

広尾学園小石川中学校・高等学校校長

(まつお・ひろしげ)1960年、東京都生まれ。2007年に順心女子中学高校を共学化した広尾学園中学高校で数学科主任教諭を経て、教頭。20年、広尾学園と教育連携する村田女子高校の校長に就任。21年、中学開設と校名変更により現職。

大学生寮「和敬塾」と提携

――中学では定員120人のところ、198人(本科118人、インターナショナルコース80人)もの1期生を迎えましたね。新入生にどんな印象をお持ちでしょうか。

生徒は非常に元気です。入学できたことに誇りを持っているのだと感じています。学校全体にも活気があります。

――校長の辞令を受けてから開校までのおよそ1年間、どのような思いで過ごしていましたか。

校長を拝命した時には気が引き締まるとともに、広尾学園の看板を傷つけてはいけないという思いが強くありました。ただワクワク感がとても大きかったので、つらいと思うことはありませんでした。ゴールから逆算して、よく夢の中でも仕事を進めていくなど、高みを目指して先手先手で動くことを心がけてきました。それは今も変わりません。

――「広尾モデル」を作った当事者としては、特に看板のどの部分を小石川でも継承していきたいと思いますか。

本物の人との触れ合いです。キャリア教育では、講演会や講習などに第一線で活躍する人を招き、目標に向かって頑張っている方のマインドを生徒に伝えていきたいです。広尾と小石川の双方向のキャリア教育プランを計画しています。

先ごろ、同じ文京区内にある男子大学生寮「和敬塾」と提携しました。東大などさまざまな大学に通う年の近い大学生から中高生に夢を語ってもらいたいと思っています。和敬塾は、今は珍しくなった寝食をともにしながら人間力の形成を目指す寮で、留学生もいます。彼らに母国の様子を話してもらうのもいいですね。また設備の共有もしていきます。

そして生徒一人ひとりの強みを保護者とともに発掘し、生徒がその強みを生かして社会にいかに貢献していくかというストーリーを描いてもらいたいです。そういう「使命」に早く気づいてほしいので、その礎となる教員や友達との信頼関係を、学校教育の中で築いていってもらいます。

――中高6年間に「使命」に気づける子ばかりではないと思いますが。

自分のモデルとなる人を見つけられるかどうかは大きいと思います。ああいう人になりたいと思える大人がそばにいるか、あるいはそういう人を探そうとするかだと思いますが、私は後者の探そうとする人を育てたい。それには本をたくさん読んだり、疑似体験をしたりすることが大切でしょう。先ほどのキャリア教育も、ただの出会いだけでなく、その人の言葉から生きざまを感じ取ることこそ重要だと思っています。

私は数学の教師ですが、図形の証明問題などは、ゴールから逆算する形で解いていきます。今の世の中は今だけを見て動いているので判断を誤ることがあるのではないかと感じます。入試において合格することがゴールではありません。「使命」に気づき、逆算して世の中を照らせる人生を歩んでいける人を育てたいですね。

本科コースの廊下の壁一面の世界地図。日本が真ん中にある常識を疑ってほしいと、30センチ四方のピースは磁石で自由に動かせる
本科コースの廊下の壁一面の世界地図。日本が真ん中にある常識を疑ってほしいと、30センチ四方のピースは磁石で自由に動かせる=撮影・岸本絢
インターナショナルコースの廊下。コースごとに工夫を凝らす=撮影・岸本絢
インターナショナルコースの廊下。コースごとに工夫を凝らす=撮影・岸本絢

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