一色清の「このニュースって何?」

ロケットの残骸が落下 → 自分にあたる確率を計算してみよう

2021.05.14

author
一色 清
Main Image

日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は1997年、米テキサス州の農場に落ちたデルタ2型ロケットの燃料タンク=NASA提供)

米国防総省が警告

中国が打ち上げた大型ロケット「長征5号」の残骸が5月9日、インド沖に落下しました。どこに落ちるかわからなかったため、一時は人や建物などに被害が出ることも心配されましたが、そうした事態は避けられました。ただ、宇宙に向けて打ち上げられるロケットや人工衛星はこれからますます増えていきます。こうした人工物が用を終えた「宇宙ゴミ」となって地球に落ちてくる心配も増えていきます。ふだんはあまり考えない宇宙開発の課題をわたしたちに突きつけるニュースでした。

ニュースを理解するためにまず、宇宙について説明します。宇宙とは一般的に高度100キロメートル以上の空間を指します。高度100キロは空気がほとんどなくなるところです。人工衛星は高度100キロ以上の宇宙空間で地球の周りをぐるぐるとまわります。高度は用途によって変わりますが、宇宙ステーションの場合は高度400キロで地球の周りをまわっています。

宇宙ステーションや人工衛星を運ぶロケットは2~3段に分かれていることが多く、燃料を使い切れば切り離し、切り離されたものは海に落ちたり、大気圏に突入するときに燃え尽きたりします。そのため、ふつうは地球に落ちる残骸が問題になることはありません。ちなみに大気圏に突入して燃えるのは、超高速で突入した物体が前方の空気を押しつぶすことで空気中の分子同士が激しくぶつかりあって高い熱が発生するためです。

長征5号は宇宙ステーションを建設するための中核部分を積んで高度400キロまで向かいました。長征5号の場合は、大型でしかも1段式のため、大きいまま宇宙空間から落下します。残骸は長さ30メートル、重さ21トンとされています。しかも落下地点をコントロールできません。このため、大気圏内で燃え尽きずに残骸が陸地に落ちる可能性もあり、アメリカ国防総省がロケットの行方を監視していると世界に向けて警告したのです。

中国は2020年にも長征5号を打ち上げましたが、この時は破片が西アフリカのコートジボワールに落ち、家屋が一部壊れるなどの被害が出たと報道されました。こうした連想もあり、今度は自分の住んでいるところに落ちるかもしれない、と緊張した人もいたと思います。

新着記事