学習と健康・成長

校則は変えられる! 「ルールメイキング」で育つ課題解決力

2021.05.17

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葉山 梢
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最近、厳しすぎる校則や制服を見直す動きが各地で出ています。生徒たちが先生や保護者と対話を重ね、民主的な合意形成を経て校則を変えるといくことは、いま社会で求められている課題解決力の育成につながるのではないか――。校則見直しのプロセス自体を教育活動にしようとする取り組み「ルールメイキング」が広がり始めています。
※写真は校則について検討する安田女子中学高校の生徒たち(カタリバ提供)

「どうせ変わらない」と思っていた

厳しすぎる校則を問題視する声が近年高まっています。2017年、大阪府立高校の頭髪指導をめぐって裁判が起こされ、翌18年には荻上チキさん・内田良さんの著書「ブラック校則 理不尽な苦しみの現実」(東洋館出版社)が話題に。今年に入り、佐賀県教委が県立高校に校則の見直しを求める通知を出したり、熊本市教委が「校則・生徒指導のあり方の見直しに関するガイドライン」を策定したりするなどの動きも出ています。

そんな中、若者の居場所作りなどの活動で知られる認定NPO法人カタリバが2019年度から始めたのが「ルールメイカー育成プロジェクト」です。担当の山本晃史さんはそれまで様々な学校で活動する中で、先生たちの葛藤を見てきたといいます。「校則に問題意識を持っている先生がいても、一人ではなかなか変えられない。生徒対学校という対立構造ではない形での解決方法を見いだしたかった」と話します。

2月にオンラインで開催されたカタリバ主催のシンポジウムで、安田女子中学高校(広島市)と岩手県立大槌高校の実践が紹介されました。

安田女子中高は100年以上の歴史がある女子校。校長補佐の安田馨先生には以前から「伝統があるがゆえに、ルールが硬直化しているのではないか」という問題意識があり、2019年から学校としてプロジェクトに参加。生徒会の下に設置したプロジェクトのメンバーには中1~高2の約20人が手を挙げ、週に1度集まって活動してきました。

生徒へのアンケートから、①スマホ持ち込み禁止②放課後の立ち寄り、登下校中の飲食は禁止③保護者同伴でないカラオケ、ゲームセンター、ボーリング場への出入りは禁止――という三つの校則の見直しに取り組むことに。現在の校則の理由を先生や警察にインタビューしたり、保護者にアンケートしたりして情報を集め、「自主自立」「世の中の移り変わり」「より生活しやすい」という三つの観点から、①スマホは連絡手段や学習利用なら持ち込み可②放課後の立ち寄りは保護者の了承を得れば可③カラオケなどは制服着用時以外は可――とする改定案を作成しました。

社会人が入り、専門知識を生かして助言するのもプロジェクトの特長だ=広島市の安田女子中学高校、カタリバ提供
社会人が入り、専門知識を生かして助言するのもプロジェクトの特長だ=広島市の安田女子中学高校、カタリバ提供

メンバーの高校2年(当時)、田中心結(みゆ)さんと花本奈月さんによると、生徒たちの間では当初、「どうせ変わらない」という気持ちが強かったといいます。1年間かけて新しいルールを作ることができ「喜びと達成感を感じた。先生や先輩が言うことをそのまま信じてしまう認識を変えられたのではないか」と話します。

同校の生徒指導主事の上所奈美先生は「最初は生徒に主導権が移るのが不安だったが、実は生徒の方が『安田生はこうあるべき』と厳しく考えていた。もっと緩めてもいいのでは、とこちらから生徒に戻すこともあった。最終的にいい形になった」と振り返ります。「元はどちらかというと消極的な生徒が多かったが、対話や発信の面で成長を感じました」。安田校長補佐は「生徒にはポテンシャルがあるが、勇気が必要。一歩踏み出せる場所を、我々教員が作れるかがポイントではないか」といいます。

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