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早稲田大が初の卒業生調査 一般入試組と附属・系属校出身に違いは?

2021.05.28

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中村 正史
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大学教育の改善のため、各大学は学生などを対象にさまざまな調査を行っています。早稲田大学が卒業して10年経った卒業生を対象に、初めての調査を実施しました。一般入試(一般選抜)、AO入試(総合型選抜)、附属・系属校など入試区分別に調査したのが特徴です。そこから見えてきたものは何でしょうか。調査した大学総合研究センター副所長の沖清豪・文学学術院教授に聞きました。(写真は早稲田大学の大隈講堂)

【話を聞いた人】沖清豪さん

話を聞いた人

沖 清豪さん

早稲田大学 大学総合研究センター副所長、文学学術院教授

(おき・きよたけ)早稲田大学文学部哲学科教育学専修卒、同大学院文学研究科教育学専攻博士課程満期退学。2009年から文学学術院教授。専門は教育社会学、高等教育論、教育行政学。12~18年に入学センター副センター長、20年から大学総合研究センター副所長。

入試区分で異なる授業や研究活動への熱心度

――早稲田大学が卒業生調査をしていることを初めて知りました。大学総合研究センターのウェブサイトに調査結果を載せています。

大学総合研究センターは大学のIR(Institutional Research)がミッションの一つで、高等教育研究部門がこの調査を行いました。学内の教育の実情を知るために卒業生に聞いて、大学の教育改善に使うためで、対外的に発表するのが目的ではありません。

卒業生調査は、2014年にセンターができたときからの課題でした。調査の意義について学内の合意を得て、18年度に試行的調査を行った後、19年度に本格的に調査しました。

卒業して10年になる06年度入学者全員を対象に案内状を郵送し、ウェブで回答してもらいました。回答数は543人で、送付した1割にも満たないので、必ずしも全体の傾向を表しているとはいえません。

――年齢でいえば31~33歳が大半です。卒業後10年の卒業生を対象にしたのは、なぜですか。

早稲田大学は07年から08年にかけて本格的な教育改革に着手しました。07年に第一文学部と第二文学部を文学部と文化構想学部に、理工学部を基幹理工、創造理工、先進理工の3学部に改組しました。調査した卒業生が学部2年の時です。08年には「Waseda Next 125」を発表し、創立150周年に向けた「Waseda Vision 150」につなげていきました。

大きな改革の前後の変化を見たかったのと、大学で学んだことが役立っているかを知るのに、卒業後10年くらいがいいと考えました。

――一般入試、指定校推薦、自己推薦・AO入試、附属・系属校からの推薦と、入学時の入試区分別に分けて分析していることに注目しました。

卒業生調査を行っている大学はかなりありますが、入試区分別の調査はあまりないと思います。調査の目的の一つは、学内の教育が卒業後も有効かどうかを分析することで、そのために高校までの学習プロセスをとらえることが必要です。選抜機能が高い一般入試(一般選抜)で入ったのか、指定校推薦(学校推薦型選抜)やAO入試(総合型選抜)のタイプか、附属・系属校かに分けて、大学教育を通じてどう変化したかを見ないと、ひとくくりでは分析できないと考えました。

――入試区分別に見ると、附属・系属校が専門科目や一般教育科目、研究活動などに熱心で、一般入試は他の入試区分に比べてポジティブな特徴はない、という結果になっています。

回答者を入試区分別に06年度入学者の実際の比率と比較すると、一般入試67%(実際は60%)、附属・系属校10%(同13%)で、一般入試が多くなっています。また附属・系属校の回答者は政治経済学部と理工学部が多く、これらを含めて結果は慎重に見ないといけないと思います。一般入試は数が多いので特徴が出にくい面があります。

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