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コロナ禍で広まる「オンライン自習室」 無言の「つながり」がやる気を後押し

2021.05.31

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夏野 かおる
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コロナ禍において注目が高まっている「オンライン自習室」。その名の通り、オンラインで子どもの勉強を見守るサービスです。利用料も無料、または、比較的安価と保護者にとってはうれしいサービスですが、先生からの学習指導なしでも効果はあるのでしょうか? オンライン自習室の運営者と実際に活用しているご家庭にお話を伺いました。

「音声オフ、映像は手元だけ」

長期化するコロナ禍に伴い、オンライン授業を実施する教育機関が増えています。しかし、オンラインだと先生やクラスメートの目がないことなどから、モチベーションを保ちにくいという声も。

そんな中で、少しずつ広がっているのが「オンライン自習室」。オンライン会議ツール(Zoomなど)をつなげながら、参加者とともに自習ができるサービスです。

「『音声オフ、映像は手元だけ』のルールで、ただ無言でつながっているだけ。それでも、画面の向こうに誰かいると思うと、不思議とやる気が出てくるんです。疲れてきても、『あと少しだけ』と自らを奮い立たせる効果があると、子どもたちからも好評ですね」

そう語るのは、小・中学生専用オンライン自習室「Pareja(パレハ)」の代表・水野裕子さん。子どもたちへの学習支援ボランティアとしても注目の集まる「オンライン自習室」ですが、実際のところどのようなものなのでしょうか。

オンライン自習室_1

第三者の存在が親子にゆとりを生む

水野さんがオンライン自習室を始めたのは2019年末ごろ。出産を機に学習塾業界から退いたのがきっかけでした。

塾長として教室を運営しながら、約16年にわたり、さまざまな親子と関わってきた水野さん。教育相談を受ける中で実感したのは、「学習塾の役割は、成績アップだけではない」ということでした。

「保護者面談の機会を設けると、教育相談というよりも、大半の時間が世間話というケースも珍しくありませんでした。子どもが成長し、少しずつ関係が難しくなる中で、気軽に話せる相手を求めておられたのでしょう。いわゆる『ガス抜き』です。オンライン自習室を始めたのも、第三者としてお子さまを見守ることで、少しでも保護者の気持ちにゆとりが生まれればと思ったところが大きいです」

そして、「ガス抜き」の役割が強く求められたのが、コロナ禍による休校期間でした。パレハでは、学習支援として無料開放。その影響もあり、利用人数は従来の3〜5倍にまで拡大しました。

「2020年4月ごろは、大人も子どもも、みんな参っていましたよね。私も一人の親として実感がありますが、ずっと近くで子どもを見ていると、嫌なところばかり目につくようになるんです。せっかくの頑張りも、『できて当然』と思うようになってしまう。今も続くコロナ禍で、そうした息苦しさを感じている親子は珍しくないと思います」

「その点でオンライン自習室は、学習習慣をつけられるのはもちろん、親子が少し距離を置くことで、双方にゆとりが生まれるメリットがあります。保護者の目の届く範囲で子どもが勉強していると、進め方についてあれこれ口を出してしまいたくなりがちです。そこで、見守りをオンライン自習室にゆだね、第三者から報告を受ける形にすれば、『けっこう頑張っているんだ』と気付くきっかけになる。実際に利用者から、『わが子を褒める機会が増えて、気持ちが救われました』という声が寄せられたこともあります」

第三者の存在を介入させることで、同じ家の中でも、適度な距離感が生まれる。息の詰まりがちなコロナ禍において、オンライン自習室が支持される理由が少しずつ見えてきました。

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