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メディア分析を地域の課題解決に生かす 兵庫県立大学井関崇博研究室

2021.06.16

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白石圭
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◇兵庫県立大学環境人間学部社会デザイン系

先日幕を下ろした大人気漫画「進撃の巨人」。そんな身近なものも題材にして、送り手と受け手との関係性を築く「メディアコミュニケーション」を研究している。そのねらいとは。※写真は井関崇博准教授のゼミ。卒論の題材は広告、まちづくり、漫画、アイドルなど幅広い(井関さん提供)

クラフトビール業界でのマーケティング手法、海洋プラスチックごみの啓発広告……井関崇博准教授のゼミの研究テーマは多岐にわたる。共通するのは「メディアコミュニケーション」を分析するという点だ。

「企業や自治体がどのように情報を発信し、人々とどのようにいい関係を築いていくか。それを研究するのが目的です」(井関准教授、以下同)

2019年の研究に、「進撃の巨人」を扱ったものがある。13~18年のタイアップ広告40件を収集。ゼミ生とともに5種類に分類し、そのなかでも、原作の設定をもとに、新しいストーリーを創出するタイプの表現が共感を呼んだと考察した。

「たとえば、本来は剣で巨人のうなじをそぐはずの主人公たちが、商品のひげそりで巨人のひげをそろうとする。キャラクターの個性を生かしつつ笑いを生むパロディーが、原作のファンにも受け入れられていました」 

「学生の冊子作りや映像制作では、私が撮影を担当することも多いです」と井関教授。所有するカメラの機材は豊富だ(井関さん提供)
「学生の冊子作りや映像制作では、私が撮影を担当することも多いです」と井関准教授。所有するカメラの機材は豊富だ(井関さん提供)

「分類」で効果的な発信が可能に

地域の情報発信方法を分類した研究もある。兵庫県明石市在住のゼミ生が、街の賑わいを生み出すために、ウェブメディアをもっと活用できないかと考えた。明石駅前には市民広場があり、管理者がウェブサイトを通じてイベントなどでの利用を様々な団体に促している。そこで、同様の情報発信の事例を全国から収集し、分類した。

その結果、サイトでの発信の仕方に大きな違いがあることが分かった。例えば、広さや備品の種類といった利便性に関する具体的なデータを重視する場合もあれば、知名度向上のため動画や写真などを交えたイメージを発信する場合もあった。

「地域が何を課題に感じ、何を伝えたいのか。地元住民はどんな情報を求めているのか。目的や条件の違いによってどのような方法がありうるかを分類・メニュー化し、選択肢を提供することが重要だと考えています。研究結果は協力いただいた地域にもできるだけフィードバックするようにしています」 

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